トヨタの設計改革に向き合う部品メーカーの順応力
アイシンAI「業務改革推進室」を新設。豊精密工業はギア開発
アイシン・エーアイ(愛知県西尾市、齋藤雅康社長)は、収益改善を進めるための組織「業務改革推進室」を新設した。主力の手動変速機(MT)市場は先行き不透明なため、グローバル工場管理や4輪駆動(4WD)車用部品のトランスファーの強化など七つの重要テーマに取り組む。2016年3月期は営業赤字に転落しており、新組織をテコに成長に向けた基盤強化を急ぐ。
MT大手のアイシン・エーアイには、トヨタ自動車グループが進める事業再編に伴い、MT事業が集約される。ただし国内のMT市場は縮小し、欧州などMT需要が大きな地域でも自動変速機(AT)へ移行する懸念があるため、自社の技術を活用した成長戦略を策定する。
新設した業務改革推進室には担当役員や部長・次長ら10人が所属する。取り組む重要テーマは国内や中国、タイ、ブラジルにある工場管理、MTの変速を自動化したAMT、AT搭載率に応じて拡大するトランスファーの強化など。AT部品の機械加工やトヨタの設計改革「TNGA」対応で軽量・効率化したMTの開発も進めていく。
固定費も見直し、将来の成長を目指したテーマへの投資資金を捻出する。全社の部長・次長には「週報」の提出を徹底するなど、課題を把握・共有して施策に生かす。
アイシン・エーアイの16年3月期の連結売上高は1339億円、営業損益は3億円の赤字だった。MTの事業集約を契機に製品競争力の強化を進めながら、成長分野も深耕して事業拡大を目指す。
(前輪駆動車(FF)用の高容量6速MT)
豊精密工業(愛知県瀬戸市、近藤芳弘社長)は、自動車用ギア(歯車)を生産するみたけ工場(岐阜県御嵩町)を増築した。投資額は数億円としている。差動装置(ディファレンシャルギア)や変速機向け円筒形ギアの生産などに用いることを想定。親会社のトヨタ自動車が進める新設計手法「TNGA」に対応したギアの開発や生産を進め、競争力を高める。
みたけ工場敷地内の一部建屋を増築した。延べ床面積を従来よりも4800平方メートル増やし、合計約4万平方メートルとした。同工場の敷地面積は約8万3000平方メートル。
同社は本社・瀬戸工場と日進工場(愛知県日進市)、みたけ工場の3拠点体制。今後は老朽化の進む日進工場(愛知県日進市)からみたけ工場への生産移管も検討する。
TNGAは部品の共通化やモジュール化を進めながら、車の生産効率と基本性能を高める手法。トヨタの完全子会社である豊精密工業もTNGAへの対応を急いでおり、今後は「ギアの新工法開発に重点投資する」(近藤社長)考え。新工法の開発で製品のコスト競争力を高める。
MT大手のアイシン・エーアイには、トヨタ自動車グループが進める事業再編に伴い、MT事業が集約される。ただし国内のMT市場は縮小し、欧州などMT需要が大きな地域でも自動変速機(AT)へ移行する懸念があるため、自社の技術を活用した成長戦略を策定する。
新設した業務改革推進室には担当役員や部長・次長ら10人が所属する。取り組む重要テーマは国内や中国、タイ、ブラジルにある工場管理、MTの変速を自動化したAMT、AT搭載率に応じて拡大するトランスファーの強化など。AT部品の機械加工やトヨタの設計改革「TNGA」対応で軽量・効率化したMTの開発も進めていく。
固定費も見直し、将来の成長を目指したテーマへの投資資金を捻出する。全社の部長・次長には「週報」の提出を徹底するなど、課題を把握・共有して施策に生かす。
アイシン・エーアイの16年3月期の連結売上高は1339億円、営業損益は3億円の赤字だった。MTの事業集約を契機に製品競争力の強化を進めながら、成長分野も深耕して事業拡大を目指す。
(前輪駆動車(FF)用の高容量6速MT)
「ギアの新工法開発に重点投資する」(豊精密社長)
豊精密工業(愛知県瀬戸市、近藤芳弘社長)は、自動車用ギア(歯車)を生産するみたけ工場(岐阜県御嵩町)を増築した。投資額は数億円としている。差動装置(ディファレンシャルギア)や変速機向け円筒形ギアの生産などに用いることを想定。親会社のトヨタ自動車が進める新設計手法「TNGA」に対応したギアの開発や生産を進め、競争力を高める。
みたけ工場敷地内の一部建屋を増築した。延べ床面積を従来よりも4800平方メートル増やし、合計約4万平方メートルとした。同工場の敷地面積は約8万3000平方メートル。
同社は本社・瀬戸工場と日進工場(愛知県日進市)、みたけ工場の3拠点体制。今後は老朽化の進む日進工場(愛知県日進市)からみたけ工場への生産移管も検討する。
TNGAは部品の共通化やモジュール化を進めながら、車の生産効率と基本性能を高める手法。トヨタの完全子会社である豊精密工業もTNGAへの対応を急いでおり、今後は「ギアの新工法開発に重点投資する」(近藤社長)考え。新工法の開発で製品のコスト競争力を高める。
日刊工業新聞2016年2016年7月14日/22日