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東芝、半導体受託の収益力を高めるため生産システム共通化

ジャパンセミコン、いつ売却されてもおかしくはない?
東芝、半導体受託の収益力を高めるため生産システム共通化

岩手、大分両事業所の生産システムを統合(岩手事業所の生産ライン)

 東芝は半導体受託製造(ファウンドリー)事業の収益力を強化する。2017年をめどに、同事業を手がける子会社「ジャパンセミコンダクター」(岩手県北上市)の生産システムを共通化し生産効率を10―20%高める。また利益率の低い生産ラインの統廃合を検討する。現在、同事業は営業赤字だが、3年後に営業利益率を10%以上に引き上げる。

 ジャパンセミコンダクターの岩手事業所(同)では「MES」と呼ばれる生産管理システムを運用している。各製造工程の進捗(しんちょく)を管理して歩留まりや効率改善につなげる仕組みで、生産の柔軟性が高い点が強みだ。

 一方、大分事業所(大分市)は車載向けを手がけるなど、高品質を強みとする。1年程度かけて両事業所の強みを生かした生産システムの構築を進め、17年にも本格的に運用する。

 ジャパンセミコンダクターは東芝の大分工場と子会社の岩手東芝エレクトロニクスを統合し、新会社として4月に発足。アナログ半導体や大規模集積回路(LSI)を手がける。

 ファウンドリー事業では車載や通信向けを中心に拡大し、3年後の19年3月期に売上高を16年3月期比3倍の300億円にする目標を掲げる。足元の営業損益は赤字だが、17年3月期の黒字化を目指している。

 受注増による売り上げの拡大と同時に、収益性の向上を進めて半導体事業の柱に育てる。収益力を強化する一環として、投資を抑えつつ生産システムの共通化を実施。これにより生産効率を10―20%向上し、利益率の改善を図る。

政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
ジャパンセミコンの目的は受託生産を増やすことで、現状7-8割の稼働率を高めることだ。中立性を高めるため、社名からも「東芝」を外した。ターゲットは日本勢が強く、今後の需要拡大を見込む200mmウエハーの領域。4月の発足以降、受注状況は計画を上回っているという。当面は生産比率を東芝:外部=7:3にするのが目標だが、先日のIRデーで半導体事業を統括する成毛康雄副社長は「その比率が逆転する可能性は除外しない」とした。メモリ事業の資金をどう確保するかが重要テーマである今、ジャパンセミコンが黒字化し受託生産で一定の成果にメドがつけば、いつ売却されてもおかしくはない。

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