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IoTへのリスク、日米欧で三者三様~安全に関する意識調査で

日本は「モバイル端末の利用」、政府・自民党も対策へ動く。米国と欧州は?
 トレンドマイクロがまとめたモノのインターネット(IoT)の安全性に関する意識調査によると、日本や欧米など調査地域全体の約8割が「IoT時代」のセキュリティーを懸念していることがわかった。同社は企業から家庭内の端末までがネットに接続されるIoT時代には、端末ごとのセキュリティーソフト導入と利用環境全体のセキュリティー対策の両面から対応することを推奨している。

 トレンドマイクロは個人ユーザー1903人を対象に、IoTの安全性に関する意識調査をまとめた。セキュリティーを懸念する理由は国ごとに異なり、各国の社会情勢や環境の変化が回答に反映された。

 日本は「モバイル端末の利用」が69%を占めた。ソーシャルメディアの利用が高まったことや、複数の端末で個人情報を取り扱う環境の変化から、情報漏えいを心配する傾向が強まった。米国は「情報漏えいの被害を受けた(73%)」、欧州は「政府の監視に対する懸念(39%)」が他国に比べ多かった。
(日刊工業新聞2015年05月08日 電機・電子部品・情報・通信面)

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  自民党のIT戦略特命委員会は16日、サイバー攻撃に対応する情報セキュリティー政策に対する提言をまとめた。セキュリティーの確保を起点とした産業の創出を実現するために、安全面での投資促進を支援することを求めた。平井たくや委員長は「セキュリティーを確保できないと政府の成長戦略も実現できない」と述べた。月内をめどに政府に提言を提出。産業創出に関連して、今後IoT(モノのインターネット)が普及することを踏まえ、安全対策の国際標準化などに取り組む産学連携も盛り込んだ。
(日刊工業新聞2015年04月17日2面)

<関連記事=社説>
 2016年度にスタートする第5期科学技術基本計画に向けた議論が今後、本格化する。策定の主体は内閣府の総合科学技術・イノベーション会議だが、これに先だって文部科学省の科学技術・学術審議会の委員会が、たたき台のひとつとなる報告書をまとめた。この中で目をひくのが「超サイバー社会」という概念を提唱したことだ。

 報告書では、今後の科学技術イノベーション政策を推進するための「6つの基本姿勢」を示すと同時に、イノベーション創出基盤強化の重要性を提起。さらに社会を牽引(けんいん)していくために国が主導して「国家戦略コア技術」を獲得・保持していくことの重要性を説く。

 同時に強調しているのが「望ましい『超サイバー社会』の実現に向けた変革」だ。同省の川上伸昭科学技術・学術政策局長は「人材システム、学術・基礎研究の推進とならぶ(報告書の)重要ポイント」と話す。

 情報通信技術(ICT)の発達によってネットワーク内に構築されたサイバー空間には、距離や時間の制約がない。現代の社会は拡張されたサイバー空間が実空間を補完し、あらゆる活動の幅を広げた「超サイバー社会」に移行しつつあるという認識を報告書は示す。

 サイバー空間では多様なビッグデータが蓄積され、これを利用して新たな価値を創出する。すでに、その可能性は電子商取引などで認識されている。製造業からも、モノのインターネット(IoT)に熱い視線が注がれる。しかし日本のICTはハードウエアが中心で、ソフトウエア開発やサービス創出、人材育成には弱点を抱えている。

 「超サイバー社会」を主導するためには、技術面ではデータ科学、人工知能、ウエアラブルセンサー、省電力化のアルゴリズム、ヒューマンインターフェースなどの要素が必要だ。さらに仮想通貨の経済活動による実社会への影響、サイバー攻撃に対するセキュリティー問題、トラブルの法的責任まで見据えた研究も欠かせない。「ツール(道具)としてのICTとは別の課題として認識する必要がある」(川上局長)という。

 一般に科学技術の研究開発では、要素技術はそれ自体が“ターゲット”として認識される。しかし社会に実装する段階になると、ターゲットになるのはあくまでビジネスや公共サービスだ。要素技術は、それを実現する手段や素材にすぎない。

 近年では研究開発と試作やビジネスプラン作成を近づけ、すぐに社会に実装できるイノベーションを創出する仕組みが求められている。第5期の科技基本計画では道具としてのICT開発ではなく、明確な目標として「超サイバー社会」に取り組む視点が重要だ。
日刊工業新聞2015年03月02日 2面
明豊
明豊 Ake Yutaka 執行役員デジタルメディア事業担当 DX統括
アンケートで意外と面白かったのは自身の個人情報の価値に関して。回答者の半数以上(56%)が、信頼できる会社ならば金銭と交換に自分の個人情報を提供すると回答している。金銭と交換するに当たっての自身の個人情報の価値は平均1,965円。もっとも価値が高いと回答者が評価した情報は、ID・パスワードで平均7,584円。2016年から日本国内で本格導入がはじまる「マイナンバー制度」に類似する米国社会保障番号の価値は平均5,568円と米国の個人ユーザは回答している。欧州では「政府の監視に対する懸念」が他国より多かったが、どのくらいの対価を払うのか。セキュリティーへの懸念はそのままビジネスにもつながる。

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