ニュースイッチ

不二越、サービス分野への参入でロボット事業の売上高を7倍強に

2020年に1500億円へ。新設の研究拠点はつくば市が有力
不二越、サービス分野への参入でロボット事業の売上高を7倍強に

産業用ロボットの技術をサービス分野向けに展開する

 不二越は5年以内をめどに、サービス分野向けロボットに参入する。開発拠点として、茨城県つくば市周辺などに産学連携の研究施設の設置を検討する。現在、同社のロボット事業は自動車分野への依存度が高い。成長性が高い新分野への参入と産業機械分野での新規開拓で、2020年にロボット事業の売上高で15年比約7・5倍の1600億円を目指す。

 政府は「ロボット新戦略」で20年に、ロボットの市場規模を2兆4000億円へ成長させる目標を掲げる。このうち非製造業分野の市場規模は13年比約20倍にあたる1兆2000億円に設定している。サービス分野は潜在需要が大きいとされている。

 不二越が参入を検討するサービスロボットの用途は未定だが、規制の厳しい医療・介護向け以外が対象になる見通し。また、電機大手などと競合しない機械メーカーならではの領域を見いだしたい考えだ。

 富山市の本社とは別に、大都市近郊に大学との共同開発や情報収集のための研究拠点を設ける方針。川崎市、大阪市なども候補に挙がっているが、現状ではつくば市が有力だ。面積1000平方メートル程度の拠点を想定している。

 同社は自動車分野向けの軸受や工具などが主力だが、電気自動車(EV)化の流れなどを踏まえ、ロボット事業へのシフトを打ち出している。同事業は15年11月期の売上高が前期比22・2%増の212億円で全体の約1割を占める。

 今後は産業機械分野を開拓するとともに、サービスロボットなど非製造業向けの分野にも進出。ロボットを主力事業に育てる方針だ。

 産業用ロボットメーカーは、ロボット市場の将来性に注目している。産業用ロボットの技術を生かし、安川電機は介護ロボット、川崎重工業は医療ロボットの開発を進めている。
日刊工業新聞2016年7月15日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
産業用とサービスロボットではビジネスモデルがまったく違うし発想を変えないとスケールは難しい。せっかくなら「機械メーカーらしくない」ものを。

編集部のおすすめ