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ドンキホーテ、地元百貨店をそのまま活用して出店するのはなぜ?

愛された「地域性」生かしコトづくり。なんば千日前店はサブカル発信
ドンキホーテ、地元百貨店をそのまま活用して出店するのはなぜ?

駄菓子や酒の品ぞろえを充実(MEGAドン・キホーテ大森山王店)

 ドンキホーテホールディングス(HD)が、地域性を生かした出店を推し進めている。訪日外国人旅行者(インバウンド)の需要増にも後押しされ売り上げを伸ばしてきた同社だが、高齢者対応やサブカルチャーの発信といった店舗ごとの個性を打ち出すことで、国内の需要の獲得を図っている。

ダイシン百貨店を居抜きで活用


 「ダイシン百貨店は地場で愛された店。そこにドン・キホーテが出ることを、必ずしも多くの人がプラスに考えてくれたわけではなかった」。親会社のドンキホーテHD社長室室長を兼務するダイシン百貨店(東京都大田区)の竹内三善社長は、6月末のMEGAドン・キホーテ大森山王店(同)出店までの経緯をこう振り返る。同店は5月まで営業していたダイシン百貨店の建物を、居抜きで活用。ダイシン百貨店が運営を担っている。

 ダイシン百貨店は高度経済成長期には売上高が350億円を超え、1990年代には7店舗を展開。粉飾決算発覚を契機に2005年、大森店のみに縮小。高齢者にターゲットを絞り、今では珍しい粉歯磨きや二層式洗濯機などの品ぞろえやペットボトル1本でも無料配送するサービスで差別化してきた。

 一方で、消費者ニーズの多様化への対応は遅れ、業績は悪化した。16年1月期業績は売上高53億円、経常損益は8100万円の赤字となり、ドンキホーテHDの傘下入りを決めた。

 ダイシン百貨店は高齢者に照準を合わせていたが、「店舗周辺は特に高齢者が多い地域ではない」(ドン・キホーテ)という。新店は多様な価値観を持つとされる“ニューファミリー”の取り込みを狙い、子どもの遊び場も設けた。一方、ダイシン百貨店で売れていた仏壇の販売は続け、11日には無料送迎バスの運行を始めるなど、ダイシン百貨店が培った高齢者向けビジネスのノウハウは生かす考えだ。

ディスカウント業態にとっては追い風


 ドンキホーテHDはグループで現在342ある店舗数を、20年には500店舗に拡大する計画。27日には“サブカルチャー発信店舗”として、なんば千日前店(大阪市中央区)を開く。吉本興業の劇場や電気街の日本橋が近い立地を生かし、関西最大級のコスプレコーナーを設けるなど、娯楽性の高い商材を扱う。

 景気の足取りが重い中、消費者は価格に対して厳しくなっており、同社のようなディスカウント業態にとっては追い風だ。その一方で、安ければ消費者が買ってくれるとも限らない。子どもや高齢者も含めて取り込むため、商品や店作りを通じ消費者の価値感を変える“コトづくり”に知恵を絞る。
(文=江上佑美子)
日刊工業新聞2016年7月18日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
コンビニ、スーパーはじめ最近はみんな「地域」。ドンキの場合は地域というより店舗の「個性」というのが正しいのか。目先だけの目新しさでは長続きしない。

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