「破たん」劇的ビフォーアフター!JALは変わったか(25)「女子旅@海外」の成功

「みんながデータを使えれば会社は強くなる」―20億PVから嗜好を見つけるマーケティング

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ウェブサイトのデータ分析から利用者が何を求めているかを探る
 日本航空(JAL)のウェブサイトには1日50万人が訪れ、ページビューは月間で20億に上る。JALは2010年12月、膨大なログデータを分析し、販売につなげる1to1マーケティンググループをWeb販売部に設置。販売ツールとして重要性が増すウェブサイトのマーケティングを強化している。

 1to1マーケティンググループの渋谷直正は「まずログデータを集めるところから始めた」と振り返る。まさにゼロからのスタート。グループ発足から最初の2年は、データ収集と分析手法の検討で、あっという間に時間が過ぎた。データを解析するマイニングツールを導入し、本格的にデータが分析できるようになったのは12年6月ごろのことだ。

 そこからさらに試行錯誤を続け、マーケティングに生かせるようになってきたのは13年ごろ。成功事例の一つがJALパックが販売する旅行商品「女子旅@海外」だ。渋谷ら同グループのメンバーは、女性同士の旅行における傾向や需要の仮説を立て、これに基づいてさまざまなパラメーターを分析。結果、女性同士の旅行は9―10月に予約が増えることや、旅先の検討にスマートフォンが使われていることを導き出した。これをバナー広告などに反映させ、ターゲットを絞って旅行商品を訴求したグループと、そうでないグループでは売り上げに10倍に差が生まれた。

 渋谷は自らを「分析ができるマーケッター」と称する。統計に基づくデータ分析は、技術論に走ることもできる。しかし、JALにおけるデータ分析は、あくまで売り上げ拡大の手段に過ぎない。データを販売にどう生かすかが目的であり、明確なビジョンを持って分析することが求められている。今後はそうした人材を増やしていくことが課題の一つだ。「みんながデータを使えるようになれば会社は強くなる」。渋谷の信念だ。

 1to1マーケティンググループ長の野口雄一郎は「目指す姿があるとしたら、まだ5合目でもない」と、この取り組みが先の長い話であることを強調する。手探りで始まったデータ分析。成功事例を作りながら、全社的な取り組みに広げていくのが、野口と渋谷の目標だ。(敬称略)

日刊工業新聞2015年04月16日 建設・エネルギー・生活面

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

社員一人ひとりが分析できることも大切だが、JALのような会社かそコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)のような仕組みを使って、JALの発想から出てこないベンチャーのテクノロジーやサービスを取り込むべきではないか。たんなる事業のシナジーだけではく、社員のマインドセットにもつながる。世のウェブマーケティングはすでにそういう世界観である。

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