MRJ8月に米国へ 森本社長に聞く

機内Wi―Fiも検討

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インタビューに応える森本社長
 三菱航空機(愛知県豊山町)は国産小型ジェット旅客機「MRJ」の型式証明取得に向け、米国での試験飛行にまもなく臨む。天候が安定している米シアトル郊外に試験1―4号機を持ち込み、試験時間を蓄積する。2018年半ばの量産初号機納入に向け、カスタマーサポート(CS)も強化する。英国で開催中の航空宇宙産業展「ファンボロー国際航空ショー」で、森本浩通社長に試験飛行への意気込みを聞いた。

「8月中に米国へ」



―この夏としている開始時期は正確に決まりましたか。

「8月中には機体を持ち込んで始める計画だ。現地施設での予行試験はもう済んでいるので、持ち込めばすぐに始められる。施設の米国人と日本人のスタッフのコミュニケーションが課題だが、解決策は見えつつある」

―順調なら1年間で完了すると見ていますが、トラブル発生は想定していますか。

「試験の結果によっては、機体を改修しないといけない場合がある。そうなった場合の影響が読めない。日本に機体を持ち帰って改修するのは時間の損失なので、現地で改修できる体制を整える」

―どのような改修作業があり得ますか。

「ハードウエア部分は問題ないだろう。必要なのはソフトウエア部分だ。バグの解消やソフトのバージョンアップが考えられる」

―CSはどう強化しますか。

「機体が良ければ売れるわけではない。使い勝手が良く、顧客がもうけられるようにすることが大事だ。リージョナルジェットなので1日に4、5回は飛行する。着陸から次に飛ぶまでの時間を短くできるよう、燃料補給や荷物の積み降ろしを効率化する」

―乗客へのサービス向上策をどう考えていますか。

「機内でスマートフォンなどをWi―Fi(ワイファイ)に接続できるようにすることを検討している。具体的な提供時期は決めていない。1―2時間の短い飛行なので、機内エンターテイメントがない。若い乗客はインターネットに接続できるかを重視する。案外そういう部分で、どの便に搭乗するか決めるものだ」

―88人乗りの機体に続いて70人乗りも開発しますが、需要はどれほどありますか。

「88人乗りのほうが需要は多いだろう。米国では組合規定でパイロットが運転できる機体に制限があり、70人乗りの需要がある。だが、それほど多いわけではない。70人乗りは受注がまだなく、試験1号機の部品を作っている段階だ」


記者の目「トラブル対応力求められる」



量産初号機の納入は当初、13年の予定だったが、度重なる開発の遅れで18年半ばにまでずれ込んだ。米国での試験飛行が計画通り進まなければ、さらなる延期を招きかねない。そうなればブラジルのエンブラエルなどとの競争に勝ち抜くのが難しくなる。想定外のトラブルが起きた時の対応力が求められる。

(英ファンボローで、文=戸村智幸)

COMMENT

米国への機体持ち込みは「早ければ7月」としていましたが、8月に落ち着いたようです。一方、試験3、4号機の初飛行は9月になる見通しとの報道もありました。航空機の開発計画は常に「水物」ですが、従来の予定より若干延びていることは気になります。 今週は英国ファンボローでの「エアショー・ウィーク」だったので、航空機産業の話題に事欠かない週となりました。

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