ニュースイッチ

DIC、ポリスチレン需要は取り逃さない。スチレンモノマーの保管タンク増設

SMは輸入がほとんど無い状態。原料の供給、安全確保に役立つ
DIC、ポリスチレン需要は取り逃さない。スチレンモノマーの保管タンク増設

四日市工場

 DICは約9億円を投じ、四日市工場(三重県四日市市)にスチレンモノマー(SM)を保管するタンクを増設する。容量は5000キロリットルで、9月の完成を目指す。SMは食品容器やインフラ関連資材向けが好調なポリスチレン(PS)の原料として使われる。供給減の懸念があるSMを多く在庫できる体制を整え、もう一段の拡大が期待できるPS需要を取り込む。

 PSは透明性や発泡性に優れ、成形しやすい。無臭なため、コンビニエンスストアなどの弁当や総菜の容器に広く使われている。またPSを発泡させて断熱材として用いる発泡PSボードも、住宅建設などの伸びを追い風にさらなる需要増が見込まれている。

 国内のPSメーカーは、主要ユーザーの家電業界が海外への生産シフトを進めた影響を受け再編。足元の需給は均衡しているが、各社は今後の伸びを見込んでいる。一方、原料を供給するSMメーカーは設備を縮小している段階。老朽設備のトラブルなどを発端に、供給が滞ると指摘する声も聞かれる。
日刊工業新聞2016年7月11日
米山昌宏
米山昌宏 Yoneyama Masahiro
スチレンモノマーの生産能力は、2007年の340万トンから徐々に削減され、現在は235万トンとなっている。一方内需は、ここ数年130-140万トン前後で推移している。輸出は100-110万トンあり、輸入はほとんど無い状態が続いている。これらを考えると、スチレンモノマーのタンクを持つことは、原料の供給安全の確保に役立つと思われる。

編集部のおすすめ