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猛暑、消費押し上げ。1度C上昇で5100億円の試算も

「所得が上がらなければ、夏・秋をならせばプラス・マイナスゼロ」
 “ラニーニャ現象”による猛暑が見込まれる日本列島―。気象庁の予測通り猛暑が続けば、7―9月期の個人消費の押し上げ効果を期待できる。ただ実質所得が伸び悩む中での消費の前倒しに過ぎず、10―12月期は反動減が予想されるとエコノミストは予測する。夏と秋の消費をならせばプラス・マイナスゼロといった結果も想定され、猛暑効果が顕在化しても日本経済への影響は限られそうだ。

 ラニーニャ現象は、太平洋赤道域の海面水温が平年より低い状態が続く現象で、日本では猛暑が見込まれる。

 第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは、7―9月期の平均気温が1度C上昇すると、実質国内総生産(GDP)ベースの個人消費(家計消費支出)を「約5100億円(0・8%)押し上げる」と分析する。

 2010年並みの猛暑なら同期の個人消費は1・1%、日照時間が過去最も長かったとされる94年並みなら1・47%押し上げるとみる。

 日本総合研究所の小方尚子主任研究員も、7―9月期の平均気温が1度C上昇すると、実質GDPベースの個人消費を「0・34%押し上げる」と予測。エアコンなどの家庭用耐久財、ビールなど酒類や乳製品、果物、被服・履き物、スキンケア用医薬品などの需要拡大が見込まれる。

 猛暑は一方で消費者に外出を控えさせるマイナス効果も想定されるものの、プラス効果がこれを上回るとみられている。ただ第一生命研の永濱氏は「ラニーニャで記録的猛暑になった94、10年とも7―9月期は大幅なプラス成長を記録した後、翌10―12月期は大幅なマイナス成長に転じていることには注意が必要」とし、日本総研の小方氏も「所得が上がらなければ、夏・秋をならせば個人消費の伸びはプラス・マイナスゼロ」だと指摘する。

 16年度の賃上げ率が15年度実績を下回る中、猛暑による一時的な消費拡大も需要の“先食い”となりそうだ。
日刊工業新聞2016年7月8日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
経団連と連合の2016(春闘)最終集計結果がまとまった。大企業中心の経団連集計では定期昇給(定昇)とベースアップ(ベア)を合わせた妥結額は7497円で賃上げ率は2・27%。一方、中堅・中小労組を含む連合集計での賃上げ幅は平均5779円で率換算2・00%。労使双方集計とも3年連続での2%台確保となったが、円高や世界経済への不透明感、日銀のマイナス金利の影響も加わり前年実績を下回った。しかもマイナス金利がデフレインパクトをもたらす可能性もある。

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