ウォーターフロント・竹芝が東京一の国際交流拠点に生まれ変わる!?
JR東日本がオリンピック見据え再開発。ホテルに劇場にコンテンツ産業も
JR東日本は5日、東京・竹芝のウオーターフロントに保有するエリアを再開発し、2020年春にホテルやオフィス、商業施設を開業すると発表した。開発するのは、敷地面積2万3000平方メートルのエリアで、地上26階建ての高層棟、劇場棟、駐車場棟の3棟を建設。投資額は数百億円とみられる。劇場棟には現在、敷地内にある劇団四季の劇場を新設し、浜離宮恩賜庭園の眺望や水辺の環境などを生かし、観光、ビジネスの拠点を目指す。
計画地には現在、劇団四季の四季劇場「春」「秋」やホテル、JR東日本の社宅などがある。四季劇場の周辺には野外広場を設け、交流空間の創出なども検討している。JR東日本では再開発に向け、ホテルを7月末に閉館、四季劇場を17年6月末に一時休止する。冨田哲郎社長は「東京オリンピックに向けて、このエリアを一帯として開発し、価値を高めたい」と述べた。
政府は国家戦略特区指定区域の実行計画づくりの一環として、「東京圏国家戦略特区」の追加事業計画をまとめた。東京・竹芝地区の都市再生では、東急不動産と鹿島が主体となり新産業貿易センターの建設と一体で、コンテンツ産業分野の研究・人材育成拠点や外国人居住施設の整備を進める。施設は地上39階建てで延べ床面積は約20万平方メートル。10月に着工し、2019年度の開業を目指す。
フランス北部のランスにはルーブル美術館の別館が開設されている。ルーブル美術館が収蔵している作品が展示され、現地の一大観光スポットだ。そこでは最先端の情報通信技術(ICT)を利用し、世界中の絵画や彫刻を楽しめる。
「3D(3次元)でギャラリーが表示されます」。別館の職員がこう説明して手渡したのが、作品のガイド用端末だ。展示している作品が3Dで示されており、興味を持った作品を選ぶと詳しい説明を聞くことができる。一つひとつの作品への理解を深めることができ、来館者に無償で貸し出している。
ガイド端末の開発に協力したのが、フランスの大手通信会社のオレンジ。「別館と文化的なパートナーシップを組み、来館者に豊かな体験を提供する未来の美術館を創る」(同社)ことを狙う。ICTを活用して鑑賞スタイルをデジタル化し、作品の魅力の訴求につなげている。
現地では「ルーブル」が持つ抜群のネームバリューを生かして、デジタル分野の集積地を目指す動きが本格化している。すでに複数のプロジェクトが選ばれており、ベンチャー企業などの進出が今後見込まれている。プロジェクトを管轄する担当者は「ルーブル美術館の別館のもとで、デジタル文化のリーダーを担うための取り組みを進める」と意気込む。ゲームやアニメなどのベンチャーが入居するインキュベーション施設とは異なる新たな集積拠点が形成されそうだ。
こうした潮流もあってフランス北部のリール地域では行政機関などが、同分野のインキュベーション施設の整備を後押ししており、有望なベンチャーが次々と生まれている。
スマートフォンの普及などにより、製作したゲームやアニメなどを海外展開できる機会も増えている。ヒット作を次々と送り出し、その名をグローバルにとどろかせる企業が同地域から誕生するのも遠くはないはずだ。
仏北部でのデジタルコンテンツ分野の振興は街の再開発の意味合いも持つが、“コンテンツ大国”として世界から一目置かれる日本でも、同様の取り組みが進んでいる。東京都は竹芝地区の都有地を活用し「都市再生ステップアップ・プロジェクト」に乗り出している。
その一環としてコンテンツ産業の研究開発や人材育成、ビジネス交流を打ち出した。官民連携で同産業の集積を目指す方針。「地方創生」の政府方針の下、地域産業の育成が重視される一方で都市計画の観点からも、成長が見込めるコンテンツ関連企業を呼び込む重要性は日本国内でも同様に高まっている。
ICTとコンテンツを融合したベンチャー育成を推し進め、ヒト・モノ・カネを呼び込みつつ海外市場を目指す仏の産業集積戦略。日本の文化を海外展開するクールジャパン戦略や外資誘致の政策を掲げる日本の政府や企業が、仏北部の集積政策から学ぶべきことは少なくない。
計画地には現在、劇団四季の四季劇場「春」「秋」やホテル、JR東日本の社宅などがある。四季劇場の周辺には野外広場を設け、交流空間の創出なども検討している。JR東日本では再開発に向け、ホテルを7月末に閉館、四季劇場を17年6月末に一時休止する。冨田哲郎社長は「東京オリンピックに向けて、このエリアを一帯として開発し、価値を高めたい」と述べた。
東急、鹿島などがコンテンツ産業などの拠点整備
日刊工業新聞2015年3月6日
政府は国家戦略特区指定区域の実行計画づくりの一環として、「東京圏国家戦略特区」の追加事業計画をまとめた。東京・竹芝地区の都市再生では、東急不動産と鹿島が主体となり新産業貿易センターの建設と一体で、コンテンツ産業分野の研究・人材育成拠点や外国人居住施設の整備を進める。施設は地上39階建てで延べ床面積は約20万平方メートル。10月に着工し、2019年度の開業を目指す。
フランス・ランスに学ぶ街づくり
日刊工業新聞2014年12月25日
フランス北部のランスにはルーブル美術館の別館が開設されている。ルーブル美術館が収蔵している作品が展示され、現地の一大観光スポットだ。そこでは最先端の情報通信技術(ICT)を利用し、世界中の絵画や彫刻を楽しめる。
「3D(3次元)でギャラリーが表示されます」。別館の職員がこう説明して手渡したのが、作品のガイド用端末だ。展示している作品が3Dで示されており、興味を持った作品を選ぶと詳しい説明を聞くことができる。一つひとつの作品への理解を深めることができ、来館者に無償で貸し出している。
ガイド端末の開発に協力したのが、フランスの大手通信会社のオレンジ。「別館と文化的なパートナーシップを組み、来館者に豊かな体験を提供する未来の美術館を創る」(同社)ことを狙う。ICTを活用して鑑賞スタイルをデジタル化し、作品の魅力の訴求につなげている。
現地では「ルーブル」が持つ抜群のネームバリューを生かして、デジタル分野の集積地を目指す動きが本格化している。すでに複数のプロジェクトが選ばれており、ベンチャー企業などの進出が今後見込まれている。プロジェクトを管轄する担当者は「ルーブル美術館の別館のもとで、デジタル文化のリーダーを担うための取り組みを進める」と意気込む。ゲームやアニメなどのベンチャーが入居するインキュベーション施設とは異なる新たな集積拠点が形成されそうだ。
こうした潮流もあってフランス北部のリール地域では行政機関などが、同分野のインキュベーション施設の整備を後押ししており、有望なベンチャーが次々と生まれている。
スマートフォンの普及などにより、製作したゲームやアニメなどを海外展開できる機会も増えている。ヒット作を次々と送り出し、その名をグローバルにとどろかせる企業が同地域から誕生するのも遠くはないはずだ。
日本でもICT×デジタルコンテンツ
仏北部でのデジタルコンテンツ分野の振興は街の再開発の意味合いも持つが、“コンテンツ大国”として世界から一目置かれる日本でも、同様の取り組みが進んでいる。東京都は竹芝地区の都有地を活用し「都市再生ステップアップ・プロジェクト」に乗り出している。
その一環としてコンテンツ産業の研究開発や人材育成、ビジネス交流を打ち出した。官民連携で同産業の集積を目指す方針。「地方創生」の政府方針の下、地域産業の育成が重視される一方で都市計画の観点からも、成長が見込めるコンテンツ関連企業を呼び込む重要性は日本国内でも同様に高まっている。
ICTとコンテンツを融合したベンチャー育成を推し進め、ヒト・モノ・カネを呼び込みつつ海外市場を目指す仏の産業集積戦略。日本の文化を海外展開するクールジャパン戦略や外資誘致の政策を掲げる日本の政府や企業が、仏北部の集積政策から学ぶべきことは少なくない。
日刊工業新聞2016年7月6日