生保大手のオルタナティブ投資は進むか。運用環境の悪化で経営陣の選択は?

各社が総代会を開催、多様化を示唆

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日本生命は順ざやが6年連続で拡大したことなどを報告した
 日本生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険の大手生保3社は5日、株式会社の株主総会にあたる総代会を開いた。日銀のマイナス金利導入以降、低金利が進行し、さらに英の欧州連合(EU)離脱決定を受けて株式相場、為替相場など世界経済は不透明さも増している。運用環境が悪化する中、経営陣に対して対応策を問う声が多く聞かれた。

 日本生命は大阪市内で定時総代会を開き、新たな商品展開で個別保険の新規契約数増加や資産運用による順ざやが6年連続で拡大したことなどを報告した。また三井生命など子会社および連結対象会社の拡充が国内外で進展。筒井義信社長は「グループ力で成長基盤を固め2017年度には事業純利益300億円を目指す」と新3カ年計画初年度の好調な滑り出しを強調した。

 一方、低金利継続で懸念される既存の保険販売に対し、長寿保障に特化した新たな保険や外貨建て変額年金など耐性を持つ新商品展開を示した。

 明治安田生命は東京都内で総代会を開催。20年前後に導入が見込まれる国際資本規制に備えるため、株式会社の資本金にあたる基金を1000億円上積みし、基金総額を8300億円とする定款変更の議案を可決した。資産・負債を時価評価する経済価値ベースの資本規制に備え、自己資本の充実を図る。

 一方、足元のマイナス金利による運用環境について、山下敏彦副社長は「中長期的に利息配当収入が減少する可能性がある」と指摘。償還を迎えた新規資金については、外貨建て債券など運用対象を分散・高度化していくことで「利息配当の減収幅を抑えていきたい」と述べた。

 住友生命は大阪市内のホテルで総代会を開催。国内金利が低位で長期化した場合の影響や商品展開について質疑応答が交わした。

 低金利下の運用収益向上について橋本雅博社長は「為替ヘッジ付きの外国債券への投資や外貨建て事業債券などのクレジット資産への投資を拡大する」と投資対象多様化を示唆。またインフラやエネルギー分野、企業の海外進出支援といった成長分野の資金ニーズに応え収益向上を図る。

日刊工業新聞2016年7月6日

COMMENT

安東泰志
ニューホライズンキャピタル
会長

生保はもともと長期運用のため、足許のマイナス金利がすぐに効いてくるわけではないが、国債が順次満期償還されていくので、新たなインカムとリスク対比リターンの向上を目指して運用を一層多様化する必要がある。クレジットリスクや為替リスクを取ることも必要になるが、その前にPEなどオルタナティブ投資を更に進めることも検討されるだろう。

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