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「現場は他社と圧倒的な差がついていない」(セブン―イレブン新社長)

古屋氏に聞く。今後は地域担当マネジャーが自ら問題意識を持って動く
「現場は他社と圧倒的な差がついていない」(セブン―イレブン新社長)

古屋社長

 コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパン(東京都千代田区)は、全店平均日販で競合を約14万円上回るなど強さが際立つ。一方、商品開発で影響力を持っていた鈴木敏文氏がセブン&アイ・ホールディングス(HD)会長を退任するなど岐路に立っている。5月に就任した古屋一樹セブン―イレブン・ジャパン社長は「他社と圧倒的な差がついていないのが現場力」とし、底上げに取り組む考えだ。古屋社長に成長戦略などを聞いた。

 ―就任から1カ月がたちました。
 「『今は立地、商品、サービスのかけ算の時代だ』と言い続けている。商品や立地が良くても、感じが悪い店にお客さまは来ない。当社の商品は優位性があり、立地の精度も上がってきた。他社と圧倒的な差がついていないのが現場力だ。私が社長をしている間は現場力を上げることに最大限、力を注ぐ」

 ―具体的には。
 「しっかりした発注やあいさつといった基本を、強いメッセージと行動に落とし込む。10月から役員を中心としたチームが北海道から九州までまわる。加盟店オーナーと話したり現場を見たりした後、課題や計画について議論する。今までは(鈴木セブン&アイ・HD)前会長のメッセージがベクトル(方向性)になっていた。これからは地域担当のゾーンマネジャーらが『言われたからやる』というのではなく、自ら問題意識を持って動いてほしい」

 ―沖縄県にも進出する予定です。
 「2―3年後に出店する。沖縄県内に専用工場を設け、物流網も県内で完結させたい。当社は関西や中京圏でも後発だったが売れる場所にしか店を作らず、日販でも優位性が出ている」

 ―消費環境をどのように見ていますか。
 「今後2―3年は難しい時代になる。消費者は『なるべく使わない』『安い方が良い』というマインドになっており、同じことをしていては買ってもらえない。一方で、圧倒的なブランドを作る好機。地域で新商品のテストをするといったトライ&エラーのスピードを、もっと上げたい」

【記者の目・さらなる魅力引き出す】
 コンビニ業界では合併や提携が活発化しているが、同社は独自路線を貫いている。5月までの既存店売上高は46カ月連続で前年同月を上回るなど業績は好調。古屋一樹社長は営業やオペレーションなどの責任者を長く務めただけに現場力へのこだわりも強い。「現場力」が高まった時、セブンのさらなる魅力を引き出すことになる。
(聞き手=江上佑美子)

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日刊工業新聞2016年7月4日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
いろいろ人事のゴタゴタはあったが「雨降って地固まる」。このインタビューを呼んでセブンの強さはそうそう揺るがないだろうと感じた。先日の記事にもあったが、地域別のオペレーションがどのような効果と問題点を生むか見ていきたい。

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