ニュースイッチ

地域観光でVRの本当の価値はどこにあるのか

NTTドコモが自治体向けにシステム提案
地域観光でVRの本当の価値はどこにあるのか

没入感の高いHMDで、臨場感のある体験ができる

 NTTドコモはVR(仮想現実感)コンテンツ開発のクロスデバイス(浜松市東区)などと連携し、広島県竹原市など自治体向けにVR技術を活用した通信システムの提案を始めた。スマートフォンを介してHMD(ヘッド・マウント・ディスプレー)で、その場にいるような映像を提供する。観光地の見どころや雰囲気を臨場感のある映像で表現することで来訪者を増やし地域活性化につなげる。

 カメラで撮影したパノラマ映像や立体視映像をデータ伝送し、スマホを通じてHMDで受信するシステム。VRの活用を進める竹原市や、浜松市など複数の自治体に提案している。

 例えば、市町村や観光協会にHMDでVR体験ができるコーナー「VRキヨスク」を設置、タッチパネルでカテゴリーを選択し、地域の魅力を紹介する用途などを想定する。

 すでに観光関連のシステムの実証試験を沖縄県で実施した。訪日外国人客も想定し、観光客が集まるホテルや旅行代理店で多言語対応のHMDを利用してもらい、反応も上々だったという。

 今後は同システムとパソコンなどとのデバイス間連携も進める。ユーザーが見ている同じ映像を別の人もパソコンで確認。接客現場で客への商品説明に活用するなど使い勝手を良くする。旅行や不動産の下見を接客窓口でVR体験し成約率を高めるなど、映像を楽しむだけではなく、システム導入による費用対効果も訴求する。

 ドコモはBツーB(企業間)ツーC(対消費者)モデルを軸にシステムの実用性を強みに顧客獲得を狙う。

凸版印刷は震災被害の「熊本城」をVRで


日刊工業新聞2016年6月21日



 凸版印刷は熊本城復興支援のため、VR(仮想現実感)作品「熊本城」を東京国立博物館(東京都台東区)内シアターで特別上演する。期間は7月10日まで。

 熊本城は4月に発生した地震により、石垣が崩れるなど大きな被害に見舞われた。現時点で復興のめどはたっていない。同作品の観賞料500円は「熊本城災害復旧支援金」に全額寄付する。

 凸版印刷は2011年に専門家の監修のもと、江戸時代の熊本城を再現したVR作品を制作。天守閣、本丸御殿など約4万枚の写真、古い図面や史料を活用している。同城内の観光交流施設で一般公開していたが、地震の影響で同施設は休館している。
日刊工業新聞2016年7月1日 
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
記事を読む限り、「観光地の映像を見る→『きれい!行ってみたい!』→実際に行く」という誘導方法でしょうか。大都市や海外での誘客イベントで使う方が効果的な気もします。観光地でやって、映像をうまく作り込みすぎると、行った気になって行かない、というパターンもありそう。佐賀市が“見えない世界遺産”こと三重津海軍所跡で導入しているように、見られないものを見せる使い方のほうが、VRの真価を出せるのでは。

編集部のおすすめ