太陽電池メーカー、次はFITに頼らない「ZEH」へ

パナソニック、京セラ、シャープ、三菱電機・・仮想発電所などを家庭・自治体に提案

太陽光パネル搭載住宅が立ち並ぶパナソニックのスマートシティー
 太陽電池メーカーが"ポスト・FIT"(再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度)へ動きだした。パナソニックは100人を配置し、地方の住宅メーカーのゼロエネルギーハウス(ZEH)開発を支援する。京セラは太陽光発電を使った地域活性化を自治体などに提案する。三菱電機は太陽光発電の電力を売らずに使い切る自家消費を訴求する。自ら需要を作り出し、FITに頼らない事業を目指す。

 パナソニックは「住宅エネマネ市場開発センター」がZEH開発を支援する。作ったエネルギーで消費エネルギーを相殺するZEHを標準化する国の方針があり、新築住宅は太陽光パネル搭載が必須となる。地方の住宅メーカーのZEH販売を後押しし、パネルの需要を確保する。
 
 京セラは自治体や地域企業と交渉する専門部隊を置いた。自前の電線を敷設し、太陽光発電の電力を地域で直接使うマイクログリッド、小さな電源を束ねて一つの発電所のように扱う仮想発電所の構築を提案する。

 いずれも地域単位で太陽光発電の導入量を増やせる。自治体や地元企業が携わることで地域に利益が生まれる仕組みにする。

 シャープはパワーコンディショナー(電力調整装置)の交換が迫った住宅に蓄電池を薦める。家庭が余剰電力を固定価格で売電できる期間は10年、11年目には価格低下が見込まれる。発電した電力をためて自宅で使う自家消費に経済的メリットが生まれ、蓄電池の需要が期待できる。

 三菱電機の自家消費は、太陽光の発電と電力消費が増える時間帯が重なる事業所がターゲット。購入する電力が減る節電効果で、売電よりも早い投資回収を見込む。FITによる売電価格が下がっており「自家消費を積極的に提案している」(杉本年秀電材住設PV計画部長)。

 FITが1日で5年目を迎えたが、太陽光発電の市場はすでに縮小局面に入った。太陽光発電協会によると15年度の国内出荷量は前年度比22・4%減の713万キロワット。”ソーラーブーム”に火を付けた大規模太陽光発電所(メガソーラー)の需要が一巡した。

 パナソニックの吉田和弘ソーラーシステムビジネスユニット長は「住宅用太陽光パネルの需要は15年、16年、17年と横ばい」と見通す。住宅用も減少傾向にあるが、メガソーラーに比べると落ち込み幅は小さい。シャープの佐々岡浩執行役員は「政府がZEH普及を明確にしており、安定した需要がある」と期待する。

 FITの恩恵が薄まると住宅用が主戦場となる。再生可能エネルギーを起爆剤とした地域活性化もFIT後の市場となりそうだ。どちらにしても、太陽光パネル単品では需要に応えられない。他の機器と組み合わせたシステム力、地域課題を解決する提案力が勝負となる。

日刊工業新聞2016年7月1日付記事に加筆

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

2020年に標準的な新築住宅をZEHにするのが政府方針です。逆算すると18年くらいにはZEHの開発を終えていないと20年に間に合わないかもしれません。大手ハウスメーカーは自力でZEHを開発できるでしょう。地方のハウスメーカーは余力がなく、太陽電池メーカーが支援しようとしています。今回の取材では、京セラの地域活性化と連携させた太陽光発電普及策が面白いと思いました。利益率が低くても自治体の事業は長期なので、長い目でみれば安定したリターンが期待できそうです。事業モデルを作りいくつもの自治体に展開すれば、息の長い事業となりそうです。

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