カフェでオリジナル鋳造品をオーダー!精密鋳造部品メーカーが個人向けサービス開始
精密鋳造や金型の製造を手掛けるキャステム(広島県福山市)は、JR秋葉原駅~御徒町駅間の高架下にある複合商業施設「2k540」内に「IRON CAFÉ」(アイアンカフェ)をオープンした。コーヒーやケーキを楽しみながら気軽にオリジナルの鋳造品の製造をオーダーできる、一風変わったカフェだ。
店内には自社で作製した鉄製のテーブルが並び、中央には草木など自然をモチーフにした鋳造品が並んでいる。キャステム社員であり、アイアンカフェカンパニー代表である戸田有紀氏はここを「モノづくりを通してさまざまな人が関わり交流を持つ場所にしたい」と思いを語る。
IRON CAFÉでは鋳造に知識のない人でも気軽に挑戦できるよう、3つのコースを用意している。まずは原型(鋳造の型の元となるもの)が鋳造後には消失してもよく、出来栄えよりはまずは安価に鋳造してみたいという人向けの『一発勝負コース』(15,000円)。原型を元に鋳造型をつくり、一気に鋳造する。
また、同じく原型が消滅してしまってもいいが出来栄えにはこだわりたい、という人には『ゴム型安心コース』(30,000円)。原型を元にまずシリコンゴム型を作成。シリコンゴム型からワックス原型(燃焼する原型)を作成し、鋳造する。
最後は原型を傷つけずに鋳造を行いたい人向けの『3Dスキャンコース』(50,000円)。3Dスキャナで鋳造したいものを読み取り3Dデータを作成。それを元に3Dプリンタで原型を造形し、シリコンゴム型をとってワックス原型を作成して鋳造する。この工法でならカエルや昆虫などの生き物を元にした鋳造も楽しめる。ただし、現在対応できるものは手のひらサイズに限る。
近いうちに店内に3Dスキャナや3Dプリンタを導入予定だ。また毎週金〜日曜日には広島にある本社から職人が常駐し、相談に当たる。
出店のきっかけとなったのは、同社内で年に数回募集、発表される「社員の夢構想」で「B to Cに挑戦したい」「東京で店舗を出してみたい」といった声がよく聞かれたことだった。しかし、いきなり何か一般消費者向けの製品を作り、それを売り出すことは難しい。そこで、まずは「カフェ」という形態で、鋳造を知らない顧客に出会う場を作り、魅力を伝えていこうと考えたのだ。鋳造に興味を持つ一般顧客に触れ合うことでこれからのBtoC戦略へのアイデアを得ることも目的としている。
現在の課題はデザイナーの確保だ。鋳造には何か原型となるものさえあればよいが、キャラクターグッズや市販のアクセサリーなどには著作権が存在し、許可を得ずに型を取り鋳造することはできない。そのため現在原則オーダーを受けることができるのは植物や動物などの自然のものに限る。近隣の美術大学の学生をアルバイトとして採用するなど、顧客のイメージを原型作りに落とし込める人材の確保に努めている。
また、ターゲットの絞りこみも急務だ。目下の目標は、アマチュアのデザイナーやクリエイターのニーズをとらえ、受注につなげること。近年、個人が服飾品などを製作し、販売する「C to C」市場が広がりを見せている。売買専用のアプリケーションや即売イベントの知名度も上がっている。積極的にイベントなどに参加することで大きな販路やBtoC製品戦略のアイデアが得られると見込む。
「店内の鋳造品を手にとって、感嘆の声をあげる人もいる。今までは知られていなかった鋳造の魅力を私たちも一緒に再発見し、一般の方に広げていきたい」と戸田氏は意気込みを語った。
(文=鎌池 愛)
店内には自社で作製した鉄製のテーブルが並び、中央には草木など自然をモチーフにした鋳造品が並んでいる。キャステム社員であり、アイアンカフェカンパニー代表である戸田有紀氏はここを「モノづくりを通してさまざまな人が関わり交流を持つ場所にしたい」と思いを語る。
3つのコースから選ぶオリジナル鋳造品
IRON CAFÉでは鋳造に知識のない人でも気軽に挑戦できるよう、3つのコースを用意している。まずは原型(鋳造の型の元となるもの)が鋳造後には消失してもよく、出来栄えよりはまずは安価に鋳造してみたいという人向けの『一発勝負コース』(15,000円)。原型を元に鋳造型をつくり、一気に鋳造する。
また、同じく原型が消滅してしまってもいいが出来栄えにはこだわりたい、という人には『ゴム型安心コース』(30,000円)。原型を元にまずシリコンゴム型を作成。シリコンゴム型からワックス原型(燃焼する原型)を作成し、鋳造する。
最後は原型を傷つけずに鋳造を行いたい人向けの『3Dスキャンコース』(50,000円)。3Dスキャナで鋳造したいものを読み取り3Dデータを作成。それを元に3Dプリンタで原型を造形し、シリコンゴム型をとってワックス原型を作成して鋳造する。この工法でならカエルや昆虫などの生き物を元にした鋳造も楽しめる。ただし、現在対応できるものは手のひらサイズに限る。
近いうちに店内に3Dスキャナや3Dプリンタを導入予定だ。また毎週金〜日曜日には広島にある本社から職人が常駐し、相談に当たる。
企画は社員の「夢」から始まった
出店のきっかけとなったのは、同社内で年に数回募集、発表される「社員の夢構想」で「B to Cに挑戦したい」「東京で店舗を出してみたい」といった声がよく聞かれたことだった。しかし、いきなり何か一般消費者向けの製品を作り、それを売り出すことは難しい。そこで、まずは「カフェ」という形態で、鋳造を知らない顧客に出会う場を作り、魅力を伝えていこうと考えたのだ。鋳造に興味を持つ一般顧客に触れ合うことでこれからのBtoC戦略へのアイデアを得ることも目的としている。
課題はデザイナーの確保とターゲットの模索
現在の課題はデザイナーの確保だ。鋳造には何か原型となるものさえあればよいが、キャラクターグッズや市販のアクセサリーなどには著作権が存在し、許可を得ずに型を取り鋳造することはできない。そのため現在原則オーダーを受けることができるのは植物や動物などの自然のものに限る。近隣の美術大学の学生をアルバイトとして採用するなど、顧客のイメージを原型作りに落とし込める人材の確保に努めている。
また、ターゲットの絞りこみも急務だ。目下の目標は、アマチュアのデザイナーやクリエイターのニーズをとらえ、受注につなげること。近年、個人が服飾品などを製作し、販売する「C to C」市場が広がりを見せている。売買専用のアプリケーションや即売イベントの知名度も上がっている。積極的にイベントなどに参加することで大きな販路やBtoC製品戦略のアイデアが得られると見込む。
「店内の鋳造品を手にとって、感嘆の声をあげる人もいる。今までは知られていなかった鋳造の魅力を私たちも一緒に再発見し、一般の方に広げていきたい」と戸田氏は意気込みを語った。
(文=鎌池 愛)
月刊「プレス技術」8月号