AIBO、カムバック!ソニー、ロボット事業に再参入

「心のつながりを持ち、愛情の対象となるロボットがその一つ」(平井社長)

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29日の経営説明会でロボット再参入を表明した平井社長(左)
  ソニーがロボット事業に再参入することを明らかにした。4月に事業化に向けた組織を立ち上げ、すでに開発に着手しれいるという。人工知能(AI)などを活用し、ハードウエアとサービスを組み合わせた新しい事業モデルの創出を目指す。ソニーがロボット事業を手がけるのは、2006年に事業撤退したイヌ型ロボット「AIBO(アイボ)」以来。

 平井一夫社長は事業化について「心のつながりを持ち、愛情の対象となるロボットがその一つだ」と話す。一般消費者向けに加え、将来は製造工程や物流など幅広い事業領域への展開を目指す考えだ。

ソニーの撤退で個人向けエンタメロボットの進展止まる


日刊工業新聞2015年11月25日付


 ソーシャルロボットの究極の目標の一つは、人間レベルの交流が行える能力を持つ機械を作ることだ。それは先のことになるが、中間段階として犬レベルの交流能力を持つロボットを作るのは妥当な考えと言える。20年ほど前にはほんの少数の企業がこうした取り組みに挑戦し、これまでに数千万体もの犬の形をした娯楽ロボットが販売されている。

 その仲間入りをしたのが香港を拠点とする消費者向けロボットメーカーのワウウィー(WowWee)だ。同社はつい最近、アプリが使用でき、ブルートゥース接続の犬型ロボット「CHiP(チップ)」を発表した。まだ開発中だが、最終的には部分的な触覚センサーをはじめ、周囲を360度認識する赤外線センサー、インタラクティブなボール、持ち主にロボットの動きをリアルタイムでフィードバックするリストバンドで構成される。

 CHiPは歩くと言うよりも、車輪の外周に斜め方向の小さい車輪が多数付いた「メカナムホイール」で、全方向移動ができる。この200ドルのロボットは家庭向けに2016年後半に発売される予定だ。

 子供にとっては面白そうに思えるが、ロボット開発のより大きな視野からすると、我々は以前にもほとんど同じような物を目にしたことがある。CHiPが来年発売されるとき、悲しいことにそれは個人向けロボット開発の分野で、せいぜい10年前と同じ状態に過ぎないだろう。誤解のないように言うと、我々はワウウィーをけなしているのではない。

 同社は面白い存在だ。手ごろな価格で箱から出してすぐ使えるロボットを作る。実のところ、我々が話題にしているのはすでに存在しない、ソニーの小さな犬型ロボットのことなのだ。

 ソニーのAIBO(アイボ)は、ロボットと人工知能(AI)の両面でかつてない飛躍をとげた。彼らのエンジニアリング力と自社開発のAIソフトはAIBOに本物そっくりの四足動物の動きや、触ったときの反応、顔と音声の認識、長期間での個性の発達、Wi-Fiとマルチメディア機能を与えた。しかし、合計で15万台のAIBOを購入した世界中のオーナーをがっかりさせたのは、ソニーが2006年にすべてのロボット事業を中断したことだ。

 いま約1年後に市場投入が予定されている新製品のCHiPを見ても、先進性でAIBOの最終モデルには遠く及ばない。ソニーの撤退で個人向けエンターテインメントロボットは明らかに成長が止まった。いま我々はあれこれ思い巡らしたり、こう問いかけるしかないのだ、AIBOよ、今どこにいようが、どうか戻ってきてほしいと。


日刊工業新聞2016年6月30日付記事を再編集

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
局長

ソニーの経営方針説明会はだいたい中身がなく空虚なものが多かった。でも昨日は久しぶりに違った。ロボットの再参入表明という具体的な話もそうだが、一番しっくりきたのが平井さんが発した「ラストワンインチ」というキーワードだ。 平井さんは「『クラウド化が進み、ハードウェアはコモディティになる』、『全ての価値はクラウドに移る』という意見がある。クラウドは確かに重要。しかしお客様の接点となるハードウェアの重要性も変わらない。その接点に近く、お客様の感性に訴える製品を作ることにソニーの強みがある。住空間だけでなく都市空間、生活空間のすべてのラストワンインチで新しい提案を行なっていく」と話す。顧客体験+ハードにもこだわるいいワードです。

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