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無人運転の公道実験に道筋。遠隔操作を運転者とみなしビジネスは動き出すか

警察庁が有識者交え検討会。配車サービスと自動車メーカーの連携を見逃すな
無人運転の公道実験に道筋。遠隔操作を運転者とみなしビジネスは動き出すか

トヨタが開発する一般道対応の自動運転実験車

 警察庁は27日、「自動運転」を関する検討委員会が発足させ、初会合が開いた。委員会は研究者や業界団体のメンバーらの有識者で構成、遠隔操作できる無人走行の場合の特例措置が必要かどうかや、高速道路の規制速度を見直すかなどになどについて話し合う予定。

 政府は高速道路での自動運転などについて、2020年までに実現を目指す方針を明らかにしている。委員会ではシステムの開発者からのヒアリングや、海外の取り組みを視察し今年度中に報告書をまとめる予定。道路交通法などの法改正に向けた具体的な議論は、来年度以降に進められる見通し。

 一方、道路交通条約の改正などを協議している国連欧州経済委員会(UNECE)の作業部会は、遠隔制御を条件に現行条約下で無人運転車の公道実証実験を認めた模様だ。「完全自動運転車」を実現するには、ドライバーの乗車を前提としている現行条約の改正が不可欠。日本も条約加盟国に加わっている。

 UNECEの道路交通安全作業部会では、日本と欧州の非公式作業グループが無人運転車の公道実験を議論。関係者によると、「乗車の有無を問わず、人が制御可能なら条約改正は不要」と結論付け、同部会で了承されたという。

 無人運転車はディー・エヌ・エー(DeNA)とロボット開発ベンチャーZMPが開発を進めているほか、海外では配車サービス大手の米ウーバーがプロジェクトを進めている。ただウーバーは自ら自動運転車を開発する考えはない。

 先日、トヨタ自動車が出資先のファンドを通じて、ウーバーへ出資し業務提携すると発表。米ゼネラルモーターズ(GM)もライドシェアリングの新興企業である米Lyft(リフト)と、ドイツ・フォルクスワーゲン(VW)はイスラエルのベンチャーに出資するなど、配車サービス会社と自動車メーカーの連携が加速している。

 
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中西孝樹
中西孝樹 Nakanishi Takaki ナカニシ自動車産業リサーチ 代表
遠隔操作を運転者とみなし、無人運転を認めないジュネーブ条約の抜け道とする判断が進んだとすれば、無人運転技術や同ビジネスでの先行を目指す日本の国策にも大切な一歩となるだろう。後は、国内道交法の改正を適切に進め、早期に実証実験を加速化させることは重要だ。ウーバーのような世界的に配車会社と大手自動車メーカーの連携が加速化する流れを見逃してはいけない。ウーバーのサービスが無い日本ではこの認識が遅れていることは間違いない。

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