中小企業が先端技術で医療機器向けで攻勢をかける

自動車や電機分野で培ったノウハウ生かし試作開発や部品加工

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京都の施策加工のネットワーク「京都試作ネット」の3社が協業し作製した人体模型
 中堅・中小企業が医療機器市場への参入に意欲をみせている。先端加工技術などを駆使して自動車や電機、航空機などに製品を供給してきたノウハウを生かし、医療機器の試作開発や部品加工などで採用を働きかける。医療機器は中長期に安定成長が見込める分野だけに参入の魅力は十分。また市場参入を通じて、日本の医療機器の製品力やモノづくり力向上を後押しする。

多様な素材な提案


 京都の試作加工のネットワーク「京都試作ネット」。同グループの西山ケミックス(京都府宇治市)、グッドウッドKYOTO(同城陽市)、クロスエフェクト(京都市伏見区)の3社が協業し、人体模型を作製した。

 心臓は真空注型、肺は切削加工、気管支は光造形というように、多様な素材、加工方法を提案する。「医療分野は精密さなど高い技術力が求められる。図面がない、デザインで困っているというような川上に近いところから提案したい」(西山ケミックス)とする。

 幸手スプリング(茨城県古河市)は、バネの素線の直径が20マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のカテーテル用極小バネを開発した。金属の中でも比重が重く、X線画像で見やすいタングステンを素材に採用。X線画像を見ながらカテーテルで治療する「インターベンション治療」などで、カテーテル先端部の正確な位置が分かるマーカーとして使用できる。「強みが生かせる一つの柱として医療分野も狙う」(菅井里輝専務)と意気込む。

 寿工業(相模原市中央区)は、採血や点滴時に静脈に挿入して留置する留置針用のかしめピンで、針サイズが28ゲージ(外径0・36ミリメートル)の極細タイプを開発した。より小型化のニーズに対応し、差別化を図る。

 マイクロメートル単位の金属粉末射出成形(MIM)技術に強みを持つ太盛工業(大阪府寝屋川市)は、世界で初めてMIMで遊星歯車機構を製作した。歯筋が斜めになったヘリカルギアで、従来の切削加工では難しかった複雑形状のギアの量産が可能となる。

(太盛工業は世界で初めて金属粉末射出成形で遊星歯車機構を製作)

医工連携に意欲


 平歯と比べてギア回転時に静粛性が増すため、医療機器の駆動部などで採用が期待できる。「成形と金型、材料、それに計測。それぞれの技術があり、複雑・微細形状を高精度に加工できる」(田中茂雄社長)とし、医工連携を通じてニーズを取り込んでいく。

 また、岡崎製作所(神戸市中央区)は直径0・08ミリメートルの世界最細のシース熱電対を商品化している。手術中の体内といった狭い場所で温度を正確、迅速に測定できる。

 鈴幸商事(横浜市港北区)は超耐熱ポリイミド成形体「セプラ」の用途開発に取り組む。耐熱温度が最大500度Cと、プラスチックで最高レベルを実現。耐放射線、耐薬品性にも優れており、薬剤の合成装置などで採用を見込んでいる。
(文=村上毅)

日刊工業新聞2016年6月28日

COMMENT

村上毅
編集局ニュースセンター
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展示会場である中小企業を取材していた時に、たまたま大手医療機器メーカーの担当者と居合わせた。その技術に感心を持ったようで、具体的な話を聞いている姿が印象的だった。優れた技術をいかに受注に結びつけるか-。市場ニーズに取り込みと、大手を引き付ける提案力が欠かせない。

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