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セコム、ドローンで夜間の工場・店舗を巡回警備。9月からサービス

信頼性の高い再充電システムを実用化。充電ポート帰還の誤差は数cm
 セコムは飛行ロボット(ドローン)による巡回警備サービスを9月に始める。夜間の工場やショッピングモールなど、従業員のいない時間帯にドローンが定期巡回して施設を撮影する。この画像データを解析して侵入の痕跡や不審物の有無を判定する。設備の異常判定など保守点検へも応用できる。警備と保守はドローンの二大市場。汎用性の高い機体を開発すると分野横断的に用途を提案できる代表例になる。

 ドローンが決められたルートを定期巡回しながら窓などを撮影していく。この画像を正常時の画像と照合し、窓ガラスが割られていたり、不審物が置かれていたりと変化のある箇所を自動抽出する。警備センターのスタッフに注意指示を与えて対応を判断させる。高所や屋上など、警備員の巡回では目の届きにくかった箇所の警備を自動化できる。

 巡回サービスの実現にあたり、信頼性の高い再充電システムを実用化した。一般にGPS(全地球測位システム)ではドローンの位置測定精度が数メートルずれることがあり、充電ポートに安定して帰還することが難しかった。セコムはこの誤差を数センチメートルに抑え、確実に再充電できるようにした。離陸、巡回、帰還、充電待機までの一連の流れを自動化した。

 警備と同時に目視点検が可能になる。プラントの高所に鳥が巣を作り始めた時点で見つけるなど点検を自動化し、保守の負荷を減らせる。すでに事業化した侵入監視サービスに巡回をオプションとして加える。7月に顧客での実証をはじめ、料金体系などを決める。
日刊工業新聞2016年6月24日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
自律飛行型のドローンは安全性確保のため、まずは人のいない環境に導入され、夜間警備や保守はその有力候補だった。経済産業省らの調査では、25年の警備ロボットの市場規模が1950億円、インフラ保守ロボは2190億円と推計されている。

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