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災害対応ロボット花盛り。今度は階段を登れるヘビ型

電通大が開発。保守や警備などの企業とうまく接続できるかがカギ
災害対応ロボット花盛り。今度は階段を登れるヘビ型

開発したヘビ型ロボ

 電気通信大学大学院情報理工学研究科の田中基康助教らは、階段を登れるヘビ型ロボットを開発した。がれきの隙間や配管から被災したビルやプラントに進入し、パイプなどから出た後も自由に動ける。狭所進入と広域探索を両立させた。災害調査やインフラ保守などに提案していく。

 9対の車輪モジュールと頭部モジュールを連結して、全長1・75メートルのヘビ型ロボを作成した。車輪の直径は10センチメートルで内径19センチメートルの配管に進入できる。関節の最大仰角が113度と大きく反り返るため、車輪径よりも大きな段差36センチメートルの階段を登れる。頭部と尾部にカメラが搭載され、サソリのように尾を上げて高い位置から進入箇所を確認できる。

 体を細くするために車輪対の片側のみにモーターを搭載した。モーター駆動の車輪をモジュールごとに左右交互に配置してバランスをとる。ロボットの体重が多点で分散するため、がれきなどの二次倒壊を起こしにくいという。

 各関節の力を抜いて床に沿って体をはわせる機能を開発。障害物の乗り越えなど走破性を高めた。災害後の建物への進入と、建物内部の階段や散乱した家財などの踏破を両立させた。内閣府の「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」で開発した。
日刊工業新聞2016年6月22日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
災害対応ロボットはいまが花盛りです。日本機械学会のロボティクスメカトロニクス講演会(ROBOMECH2016)ではポスター発表の約5分の1は ImPACTの 災害対応ロボ関連の発表でした。しかも「粒ぞろい」と言われるほど評価が高かったです。大学の研究としてはフィールドロボットの分野は一定の規模ができたので、これからインフラ保守や警備などの企業での事業開発とうまく接続できるかどうかが勝負所です。大学の研究は「がれきの間でも調査ができる」など機能を拡張する研究が多いのですが、「初見で使える」「壊れようがない」「気軽に捨てられる」など、事業性に効いてくる研究テーマがもっと増えても良いと思います。本来、産業側の仕事ですが、やってる人が少ないので大学にもチャンスはあります。 (日刊工業新聞科学技術部・小寺貴之)

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