アローラ退任、ソフトバンクの取締役会はどのように機能したのか

何百年単位の話をしてきた孫社長が、「2年後の意思」を読み間違えた?

 ソフトバンクグループのニケシュ・アローラ副社長が22日付で退任した。アローラ氏は2014年に米グーグルからソフトバンクに入社。海外事業を統括し、孫正義社長は「後継者候補」と公言していた。トップの交代時期について両者の考えに違いがあり退任を決めた。ソフトバンクはグローバル企業への変革を進めている。アローラ氏はそのけん引役とされてきたが、退任により成長戦略への影響は必至だ。

「短期的に業績への影響はない」


岸田重行氏(情報通信総合研究所・上席主任研究員)
 ソフトバンクは多角的・多面的に事業を展開しており、短期的に業績への影響はないと思う。孫社長の成長戦略とアローラ氏が描いていた時間軸のバランスがとりにくくなったのだろう。これまで同氏を通じて重点市場としてインドなどへの種まきと既存事業の刈り取りを行ってきたが、今回の退任でどう変化するか注目している。

 同氏のツイートをみると、ソフトバンクグループの社長に早くなりたかったようだが、そうはならなかった。ワントップでグローバル展開を進める会社はどこも後継者選びに苦労する。現在、経営の権限は孫社長に集中している。中長期でのグループ戦略を描ける人材やチームを配置できるかが重要だろう。

ファシリテーター・原直史氏(元ソニー役員)の見方


 私個人は、孫さんが続投の意思を示したことに違和感を覚えている。孫さんは、日本の経営者の中でも、もっともロングレンジでビジネスを考えてきた人であると思う。彼の口からは、何年後の話ではなく、何十年後、時には何百年後の話が当たり前のように語られてきた。その孫さんが、2年後に来るご自身の「60歳の意思」を読み間違えた?常識を超えた、稀代の経営者であるが故に、納得がいかないのである。

 メディアは今のところ、同社の成長戦略に支障が出ることを危惧する報道をしている。私は、この間、取締役会がどのように機能したのかに関心がある。

 取締役会は、1年前、後継者としてのアローラ氏指名に賛同した。株主総会招集通知に記載する取締役候補にアローラ氏が入ることも承認した。そして今度は、孫さんの続投に賛意を示している。創業経営者の後継指名という重大案件に対して、取締役会がどのように意思を示すべきか、考えさせられる件だ。

明 豊

明 豊
06月23日
この記事のファシリテーター

原さんの指摘する通り取締役会でどのような議論、プロセスがあったのか。高額報酬を得ているアローラ氏の選任と突然の退任は、株主からみても不透明で違和感があると感じただろう。孫社長は、柳井さんや永守さんという「お友達社外取締役」に総会前に相談し、「貴重なアドバイスを頂いた」と言っている。総会でも2人の過激トークばかり注目され、創業オーナー経営者の「まだまだ頑張ります」宣言に対し拍手喝采で終わってしまった印象が強い。ソフトバンクのガバナンスと今後の成長への不安と課題は大きくなった。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。