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高浜原発、延長認可。関電は安全性を誠心誠意、国民に向け説明を

2030年のベースロード電源へ“60年運転”に道を開く
高浜原発、延長認可。関電は安全性を誠心誠意、国民に向け説明を

関西電力の高浜原発1、2号機

 原子力規制委員会は20日、稼働から40年を超えた関西電力高浜原子力発電所(福井県高浜町)1、2号機について、運転期間の延長を正式に認可した。原発の運転期間は福島第一原発事故後の原子炉等規制法改正で原則40年だが、老朽化対策などの審査合格を条件に最大20年の延長が認められる。高浜1、2号機は現行規制下で運転期間延長が認められた初の原発となる。

 関電は同日、「全国で初めてであり、後続プラントの先駆けになる」とコメントを出した。高浜1、2号機では原子炉格納容器の上部を覆う補強やケーブルの防火対策など安全対策のための大規模な改修工事が必要となる。関電は今後、工事を本格化させるが、再稼働は早くとも2019年度後半を見込む。

 高浜1、2号機は営業運転開始から40年を超えており、特例で設定された7月7日までに手続きを終える必要があった。

 同じく40年超運転を審査中の関電美浜原発(福井県美浜町)3号機は、40年の運転期間を満了する11月30日が延長認可の期限となっている。

 原子力への電源依存度が高い関電は9基の原発を抱えており、このうち7基は営業運転から30年が経過している。今回の認可は原発の“60年運転”に道を開くものとなる。中でも出力が大きく、19年に運転開始40年を迎える大飯原発(福井県おおい町)1、2号機の運転延長が重要となる。

 一方、大津地方裁判所による運転差し止めの仮処分で高浜3、4号機は再稼働の見通しが立っていない。
日刊工業新聞2016年6月21日
永里善彦
永里善彦 Nagasato Yoshihiko
原子力への電源依存度が高い関電にとっては、高浜原発1、2号機の延長の是非は死活問題である。規制委による運転期間延長の認可は、原発の“60年運転”に道を開くものとして、業界としては大いに歓迎しようが、それは、当面のしのぎでしかないと心すべきである。2030年に向けてベースロード電源として原発を続けたいなら、その必要性と確率論的な安全性について、誠心誠意、国民に説明し、リプレースによる原発運転で正々堂々と正面突破すべきである。

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