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地銀61行の今期予想、17%減益。マイナス金利で“四重苦”

地方創生の担い手、合従連衡を含めた経営効率の改善が課題に
 全国地方銀行協会がまとめた加盟行(予想を公表していない3行を除く61行)の2017年3月期の通期業績予想は当期純利益が合計で前期比17・7%減の7343億円になった。

 地銀協の中西勝則会長(静岡銀行頭取)は、日銀が2月に導入したマイナス金利政策の影響について、「各行で差はあるものの、国内中心に展開している地銀全体にとっては、収益に深刻な影響を与えている」と述べた。

 16年3月期の加盟64行の当期純利益の合計は過去最高益を計上した。貸倒引当金の戻り益や株式持ち合いの解消による含み益などが全体を押し上げた。

 マイナス金利が通年で響く17年3月期の見通しは一変する。中西会長は日銀の金融政策への是非の言及は避けたが、地銀を取り巻く環境について「厳しい」という表現を繰り返した。

 地銀には地方創生の旗手としての役割が期待される。一方、人口減少、資金需要の乏しさ、運用難の“三重苦”に悩む地銀が、マイナス金利の逆風に守りの姿勢を強めれば地域産業の振興はままならない。三重苦が四重苦になった今、各行のトップは他行との統合を含め、難しい判断を迫られる。
日刊工業新聞2016年6月21日
安東泰志
安東泰志 Ando Yasushi ニューホライズンキャピタル 会長
地方創生の担い手として政府から期待される地銀だが、現実には人口と企業数の減少、資金需要の減少、そして潜在的な問題債権の増加に悩み、預貸率は低迷を続けている。それだけにマイナス金利による運用益の減少は厳しい。ベンチャー支援や観光振興などに高いノウハウがあるわけでもなく、当面は経営が安定しているうちに合従連衡を含めた経営効率の改善が課題となろう。

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