日立造船が海外でゴミ焼却発電プラントのアフターサービス

異常検知や最低燃焼値の算出も構築へ

 日立造船は海外でゴミ焼却発電プラントのアフターサービスに乗り出した。欧州を中心に同プラント事業を展開する子会社で消耗部品の販売に向け営業活動を始めたほか、自社がマレーシアで初受注し2018年に完成予定のプラントの遠隔監視にも取り組む。建設工事に加え、収益率の高いO&M(オペレーション&メンテナンス)事業を拡大する。

 部品の営業活動を始めたのは子会社の日立造船イノバ(スイス)。これまで同プラントのEPC(設計・調達・建設)が中心だったが、アフターサービス対応にも業務を広げて事業の収益性を高める。同社は英国やドイツに会社を設立し、体制を整えてきた。日立造船でのマレーシアのプラント遠隔監視は海外で初めてとなる。本社(大阪市住之江区)内の遠隔監視センターと18年完成予定の現地のプラントを接続する計画で、すでにデータの収集など準備を進めている。

 同社は東南アジア地域で相次いでプラントを受注し、ベトナムやタイでも稼働を控えている。今後、海外でも案件に応じて遠隔監視に対応し安定運転や省力化・省人化、運転員の技術支援、予防保全による稼働率向上と保守費用低減につなげる。

 同社のアフターサービスなどの事業の16年3月期の売り上げは、前期比124億円増の1485億円だった。同事業の比率を拡大し収益力を高める。

プラント各社、新興国で受注争奪戦


日刊工業新聞2016年4月12日



 ゴミ焼却発電施設を手がけるプラント各社が、アジア案件を相次いで受注している。日立造船はタイで初めて、川崎重工業は中国で2件目を受注した。各社は沿岸都市部に加え、内陸部で新設需要が出ている中国や、国内総生産(GDP)の高まりで焼却需要が拡大する東南アジアを重点地域に位置づける。日本での更新需要は今後数年で一巡する見通しで、生き残りをかけた海外市場の受注競争は激しさを増している。

 日立造船はタイで再生可能エネルギープラントを手がけるNKNYから、北部ノンカイ県に新設するゴミ発電プラントを受注した。受注額は数十億円。日量370トンのストーカー式焼却炉と、発電出力6000キロワットの発電設備を供給するほか、設備の据え付けや試運転の支援を担う。

 タイでは2015年から再生可能エネルギー固定価格買い取り制度がスタート。ゴミ焼却で発生する熱エネルギーを活用した発電設備の電力が売電できるため、焼却設備需要は今後も高まる。日立造船は中国やマレーシアなど、アジアで27件の受注実績を持ち、19年度に海外売上高1000億円を目指す。

 川重は中国のセメント大手コンチグループと共同で、ゴミ焼却施設を受注。川重とコンチの合弁企業である安徽海螺川崎工程(ACK)が、雲南省硯山県の案件を請け負う。ACKは日量200トンのストーカー炉や発電設備の設計・調達業務を担う。受注額は20億円前後とみられる。17年5月の完工を目指す。

 川重の中国のゴミ焼却プラント事業は、ゴミの熱エネルギーをセメント生産に利用する「CKKシステム」が主力。中国ではCKKシステムとの両輪で中国市場を攻め、単年度10基の受注を目指す。

 ゴミ焼却プラントではJFEエンジニアリングや新日鉄住金エンジニアリングなども、海外展開を加速している。日立造船に並ぶ国内2強のJFEエンジは、海外で9施設16炉の受注実績を持つ。新興国はゴミの埋め立てが主流だが、最終処分場の逼迫(ひっぱく)などを受け、新設案件の増大が見込める。

日刊工業新聞2016年6月20日

長塚 崇寛

長塚 崇寛
06月21日
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ゴミ焼却プラントは技術の成熟化が進み、技術面での差別化が難しくなっている。そこで各社は遠隔監視などのアフターサービスを新たな競争軸に位置づけている。ゴミ焼却プラントで国内首位の日立造船は、アフターサービスでも他社を先行。日本IBMと組み、燃焼の異常検知や最低燃焼値の算出といった最適運転管理システムの開発に着手している。これを受け、日立造船を追う国内2位のJFEエンジニアリングなど競合他社も、相次いでアフターサービスに本格参入。今回の海外展開は他社の突き放しが狙いだろう。ただ、東南アジアなど新興国は埋め立て処理から、ようやく焼却処理に軸足を移しつつあるのが実情。アフターサービスの利点をいかに訴求するかがカギを握るだろう。

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