ニュースイッチ

ドラッグストア業界で利益率トップを狙うツルハの本気

総菜、デザートなど日配食品も1000店に導入
ドラッグストア業界で利益率トップを狙うツルハの本気

ツルハは食品の強化などで集客する(都内のツルハドラッグ)

 ツルハホールディングス(HD)が体質改善を加速する。一段の収益力向上に向け、店舗作業の効率化や地域の実態に合わせた商品政策、物流改善などに取り組む。2016年5月期決算では、本業のもうけを示す営業利益が業界2位に浮上。営業利益でドラッグストア業界トップのサンドラッグに肉薄した。ツルハHDが17年5月期の各利益計画を達成できれば、営業利益でサンドラの17年3月期計画を上回り業界トップに立つ格好。交代は実現するか―。

 ツルハHDの16年5月期の営業利益は、前期比16・5%増の313億円。17年5月期は同18・4%増の371億円を計画しており、17年3月期に同8・2%増の357億円を計画するサンドラに10数億円の差をつけてトップに躍り出る。

 ツルハHDの利益向上計画のカギを握るのは、既存店の活性化や物流に連動した売り場作業の効率化だ。同社はかねて食品の導入を進めており、前期までに加工食品などはほぼ一巡。加えて、低温で販売する乳製品や総菜、デザートといった日配食品も1000店に導入した。食品は集客装置になるが、粗利益率が低いため全体の利益率は低下する。そこで16年5月期から、物流センターの配送体制を改革。カテゴリー別に仕分けした状態で店舗に納品するなどの体制を整備し、店舗では品出し作業などの時間を削減した。

 この合理化で同期は、約4億円分の人件費を捻出した。このうち3億円分を接客に回すなどで、接客プラスアルファで90億円程度の売り上げ拡大効果があったという。

 17年5月期はこうした施策に加え、既存店で商品数を拡大する一方でカテゴリーごとのゴンドラ(陳列)本数の見直しなどに取り組み、一段と地域の実態に合わせた商品政策に見直す計画だ。

 「(カテゴリーごとの)単品数を絞りながら、カテゴリーを増やす。また売り上げに応じたフェイス(棚割)を確保する」(ツルハホールディングス)ことで品ぞろえをバラエティー化し、販売機会損失も減らす格好だ。

 このほかにも17年5月期は、粗利益率4割(16年5月期)と高採算のプライベートブランド(PB)の売上高を前期に対し約20億円上乗せする計画や、メーカーなどが卸を通さず小売店と直接契約して販売する制度品化粧品の販売強化といった利益率向上に総合的な取り組みも展開する。

 ドラッグストア業界では売上高のトップ交代が予想されている。CFSコーポレーションとの統合が寄与するウエルシアHDが、17年2月期に前期比19・2%増の6300億円を計画。マツモトキヨシHDを抜いてトップに立つ見通しだが、営業利益ではツルハHDがサンドラを抜けるかが焦点。ドラッグストアの順位入れ替え戦が激化してきた。
(文=森谷信雄)
日刊工業新聞2016年6月21日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ドラッグストア業界はまさに戦国時代。長らく続いた売上高マツモトキヨシHD、利益サンドラッグという図式が続くかどうか焦点となっています。今期、マツキヨHDの売上高をウエルシアHDが抜く可能性が高まっていますが、一方でツルハHDが利益でサンドラッグを抜けるか否かが、もう一つの焦点です。

編集部のおすすめ