VAIO社長「ウィンドウズ搭載スマホの市場を創出する」

経営統合破談「量を追わず、安売りもしない」

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VAIO公式ウェブページより
 ソニーから独立後、パソコン事業と電化製品などの受託生産事業を2本柱に独自の成長を図ってきたVAIO(長野県安曇野市)。独立から3年目を前に、大田義実社長は「今期中に第3の柱を立ち上げる」と、新たな段階に入ることを明らかにした。今後の展望を聞いた。

 ―第3の柱とは。
 「2017年5月期の後半に、ベンチャー企業と取り組む受託ビジネスのプロジェクトの中から立ち上げたい。受託といってもベンチャー企業とは設計初期段階から協力している。一方、受託ビジネスの売上高をパソコンと同規模に引き上げる計画は、1年前倒しとなる17年5月期中に達成できそうだ。大手からの引き合いも多く、増員や配置転換で担当者を増やす」

 ―全社の業績回復は進んでいますか。
 「約束通り、16年5月期の営業損益は黒字に転換する見通しだ(前期は20億円弱の赤字)。パソコンは販売台数が前期比2倍となり、受託事業もスピード感が出てきた。ソニー時代に他人任せだったことを自分たちで取り組んでおり、すぐに派遣社員を増やすなどの『大企業の当たり前』を止めた。こうした意識の変化が大きい。自前の営業部門を持ち、多能工化を進めたことで回復できた」


 ―一時、富士通などとのパソコン部門統合案が出たのは、単独では生き残りが難しいからではないですか。
 「日本のパソコンメーカーの過去の失敗は、量販店を広げ過ぎたことにある。当社は販売店数を絞り、量を追わず、安売りもしない。機種ごとに事業計画を立て、在庫や限界利益、返品率などの指標を毎月管理してダメならすぐに止める。世界シェアが低いと部品価格は高くなるが、商品・サービスの作り込みでカバーできる。これは当社の業績回復の結果から明らかだ」

 ―4月に発売したウィンドウズ搭載スマートフォンの見通しは。
 「パソコンとの親和性の高さに期待している。特にパソコンの持ち出しを禁止する企業は(当社のウィンドウズ搭載スマホを使えば)働き方を変えられる。アンドロイド搭載機種の対抗馬ではない。これから市場を創出する」

【記者の目・独自路線へブランドに磨き】
 かつてのVAIOといえば、持つだけでかっこいいデザインや先進的な機能が特徴で、ブランド力や消費者への期待感を高めていた。現在のパソコン製品は利便性を重視した構造となったが、基本的な考え方は変わらない。今後、パソコンだけに頼らない独自路線を進む上でも、VAIOのブランド力や強みを磨くことがカギとなる。
(聞き手=梶原洵子)

「日の丸パソコン」破談の先にあるもの


日刊工業新聞2016年4月18日


 東芝と富士通、VAIO(長野県安曇野市)が交渉を続けてきたパソコン事業の統合が、暗礁に乗り上げた。出資比率やリストラなどの条件が折り合わず、交渉は白紙に戻る見通しだ。最大の要因は、生産拠点の統廃合で妥結点が見いだせなかった点。今回の統合問題は東芝と富士通のパソコン事業の不振が発端だったが、両社が自社拠点の維持を譲らず、メリットを見いだしにくくなった。今後は振り出しに戻り、収益向上策を練り直すことになる。

 「日本産業パートナーズ(JIP)が交渉を降りた時点で、この話はなくなったも同然だ」―。関係者は明かす。統合交渉は不採算事業を切り離したい東芝と富士通が、VAIOとその親会社であるファンドのJIPを巻き込んで始まった。

その後3社で持ち株会社を作り、その株式の過半数をJIPが持つという所まで交渉は進んだ。しかし、拠点などは維持しつつも、連結対象から外すべく、できる限り出資比率を引き下げたい東芝・富士通と、一足先にソニーから分離し独自路線を歩み始めたVAIOの間で溝が埋まらなかったと見られる。

 合意時期としていた3月に入り、雲行きは怪しくなっていた。ある関係者は「3月中に決めたいが、条件がそろわず話が成立するか分からない」と吐露。これを裏付けるように、東芝の室町正志社長は事業方針説明会で「統合の方向性は一致しているが、条件面が集約できていない」と発言。目標合意時期を6月に後ろ倒した。

 当初から3社統合のメリットが見えにくいと指摘されてきた中、唯一の統合効果が生産や調達の集約による製造コストの削減だった。ただその点も交渉が難航。メリットは東芝と富士通がパソコン事業を連結対象から外す、という点のみになってしまい、破談に至ったとみられる。

 今後はそれぞれが独自で成長戦略を描かねばならない。VAIOはパソコンで尖(とが)った製品を展開。またロボットの受託生産事業など新規事業に力を入れ、パソコン偏重からの脱却を図っている。

 もくろみの崩れた東芝と富士通は、戦略の練り直しを迫られる。すでに両社ともパソコン事業は分社済み。採算性が見えやすくなった分、リストラに踏み込まねばならない可能性も出てくるだろう。他の売却先を模索する道もあるが、買い手は見つかりにくいという声もある。両社にとって険しい道のりになりそうだ
(文=政年佐貴恵)

日刊工業新聞2016年6月15日

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

去年に発売した初代「VAIO Phone」は標準的なアンドロイド搭載スマホで評判は良くなかった。今回の「VAIO Phone Biz」はOSに「Windows 10 Mobile」を採用し、Windows 10搭載パソコンとの親和性が高い。ビジネス用途ではかなり便利。今後、VAIOはその小回りの良さから個性的な製品を生み出していく可能性を感じる。統合しなくて正解。規模ではないビジネスモデルと事業性の両立をぜひ見つけ出してほしい。

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