昨年度の倒産件数は10・5%の大幅減。逆に「円安関連倒産」は2・2倍に!
消費支出のマイナスが続く中での値上げラッシュ。公共工事にも変調の兆し
多くの飲食料品が4月1日出荷分より値上げされた。値上げ幅は数%から20%程度までさまざま。世界的な農産物価格の上昇と、急速に為替の円安が進んだ影響によるコスト増加が、企業努力により吸収できる範囲を超え値上げせざるを得なくなったという。また、1日から輸入小麦の政府売り渡し価格が3・0%引き上げられることを受け、小麦粉も製粉メーカー各社が6月中旬より値上げすることを決定。生活必需品の値上げラッシュは当面続きそうだ。
総務省の家計調査(2人以上の世帯)によると、2月の消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年同月に比べ2・9%の減少(速報値)。消費税率引き上げが実施された2014年4月以降11カ月連続で前年同月比減少となっている。4月以降の生活必需品の値上げにより、消費マインドが一層冷え込む可能性もある。
過去の小売業の倒産事例では、仕入価格上昇時に消費マインド低下を警戒し価格転嫁しなかった結果、資金繰り難に陥ったケースは珍しくない。小売業の14年度倒産は1829件で前年度比7・7%減少。だが今後、消費マインド低下だけではなく、小売業に対するしわ寄せも合わせて警戒する必要があろう。
14年度の企業倒産件数は9044件で前年度比10・5%の大幅減となり、6年連続の前年度比マイナス。特に減少が目立ったのは建設業(1800件)で、前年度比17・6%、件数にして384件の大幅減だ。東日本大震災からの復興需要、政権交代後の公共工事増加、消費税率引き上げ前の駆け込み需要などが建設業の倒産減少に寄与しているとみられる。
だが、近頃は資材価格や労務費高騰が建設業者の収益に大きな影響を与えている。それに加え、地方建設業者のよりどころとなっている公共工事も、公共工事前払金保証実績が7―9月、10―12月と2期連続で前年同期を下回り(東日本建設業保証公表)、一時の勢いを感じられなくなった。
今年の春闘で大手企業が大幅な賃上げを回答するなど個人の所得環境は改善する見込みだが、前述の通り生活必需品の値上がりは続く。また、14年度の「円安関連倒産」が前年度比2・2倍となったことも注意が必要。
中小企業の経営環境を見渡せば、こうした不安要素がいまだ多い。これらを踏まえると、15年度の企業倒産件数は、現在の減少トレンドを継続しながらも、建設需要、個人消費マインド、為替相場に大きく左右されつつ、一進一退を繰り返すと想定される。
(帝国データバンク情報部)
総務省の家計調査(2人以上の世帯)によると、2月の消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年同月に比べ2・9%の減少(速報値)。消費税率引き上げが実施された2014年4月以降11カ月連続で前年同月比減少となっている。4月以降の生活必需品の値上げにより、消費マインドが一層冷え込む可能性もある。
過去の小売業の倒産事例では、仕入価格上昇時に消費マインド低下を警戒し価格転嫁しなかった結果、資金繰り難に陥ったケースは珍しくない。小売業の14年度倒産は1829件で前年度比7・7%減少。だが今後、消費マインド低下だけではなく、小売業に対するしわ寄せも合わせて警戒する必要があろう。
14年度の企業倒産件数は9044件で前年度比10・5%の大幅減となり、6年連続の前年度比マイナス。特に減少が目立ったのは建設業(1800件)で、前年度比17・6%、件数にして384件の大幅減だ。東日本大震災からの復興需要、政権交代後の公共工事増加、消費税率引き上げ前の駆け込み需要などが建設業の倒産減少に寄与しているとみられる。
だが、近頃は資材価格や労務費高騰が建設業者の収益に大きな影響を与えている。それに加え、地方建設業者のよりどころとなっている公共工事も、公共工事前払金保証実績が7―9月、10―12月と2期連続で前年同期を下回り(東日本建設業保証公表)、一時の勢いを感じられなくなった。
今年の春闘で大手企業が大幅な賃上げを回答するなど個人の所得環境は改善する見込みだが、前述の通り生活必需品の値上がりは続く。また、14年度の「円安関連倒産」が前年度比2・2倍となったことも注意が必要。
中小企業の経営環境を見渡せば、こうした不安要素がいまだ多い。これらを踏まえると、15年度の企業倒産件数は、現在の減少トレンドを継続しながらも、建設需要、個人消費マインド、為替相場に大きく左右されつつ、一進一退を繰り返すと想定される。
(帝国データバンク情報部)
日刊工業新聞2015年04月21日 ひと&会社面