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サッポロ、クラフトビール人気を追い風にコンビニ限定商品

2016年はビール強化元年。「黒ラベル」が実に21年ぶりに増加
サッポロ、クラフトビール人気を追い風にコンビニ限定商品

国内外で早くから、ホップなどの協働契約栽培に取り組んでいる

 コンビニエンスストアで、サッポロビールの商品攻勢が目立っている。4月にサークルKサンクスで「NIPPON LAGER(ニッポンラガー)プレミアム」、セブン―イレブンで「FIVE STAR」を発売。14日にファミリーマートで「ビアサプライズ」を投入し、21日にはセブンに「ヱビス126」を追加する。小規模醸造所やビール職人が手がけるクラフトビールの人気もあり、消費者のビールに対する関心が上向きつつある。コンビニごとに個性の違う限定ビールを仕掛け、存在感を高める戦略だ。

 「オンリーワンを積み重ね、ナンバーワンへ」。サッポロビールの時松浩取締役常務執行役員は、事業方針をこう強調する。「2016年はビール強化元年」と、攻勢に出る構えだ。

 国内ビール市場全体は、少子高齢化や若者のビール離れなどを背景に、長期低落の状態。しかし、15年はビール課税出荷数量が19年ぶりに前年比プラスとなり、サッポロも看板ブランド「黒ラベル」が、実に21年ぶりに増加した。

 黒ラベルは4月に、初の派生商品「エクストラブリュー」を発売。当初計画の25万ケース(1ケースは大瓶20本換算)を大幅に上回るヒットとなっている。コンビニ限定ビールはそれと並び、店頭で存在感を高める手段の一つになる。コンビニ限定4商品のうち2商品は、希少品種のホップを採用した点が特徴だ。

 ニッポンラガーは国内で100年以上前から作付けされている「信州早生」ホップに国産麦芽、ラガー熱処理製法を組み合わせた。力強さとコクが持ち味。ビアサプライズはドイツ産伝統品種であるハラタウトラディションと、苦みが強いヘラクレス品種のホップを配合、鮮烈な苦みと香りがある。

 また、コンビニ限定ではないが、黒ラベル派生商品のエクストラブリューも独自に開発した「旨さ長持ち麦芽」を採用し、のどごしのうまさと爽快な後味を実現した。セブンで発売するヱビス126は、麦芽100%とホップの特徴は維持しつつ、雑味成分を抑える「デュアルスムース製法」で飲みやすいなど、各商品の個性を鮮明にした。

早くから原料調達で「協働契約栽培」


 ホップも麦芽も輸入が大半なだけに、希少品種原料の採用は調達の難しさだけでなく、コスト高になる。サッポロは国内、海外の双方で早くから原料調達のため「協働契約栽培」に取り組んできた。

 ハラタウホップの入手などは「これまで培った生産者との人間関係が生きている」(サッポロビール)という。香りが強い希少品種のホップは一般品種のホップより病虫害が起きやすく、収穫量が安定しない。このため、農家は希少品種を敬遠し、「大口買いで安定収入が見込める」(同)一般品種を栽培する傾向になっている。

 そうした中で、希少品種を栽培してもらうため「数年間は出来不出来にかかわらず全量買い取りの契約を結び、栽培法や病害虫防除など、きめ細かいサポートを行っている」(同)と強調する。一朝一夕の取り組みではない。

 コンビニ限定ビールは、販売数量も5万―10万ケースと多くはない。店頭で売れ行きが良くても、原料確保の面から増産は困難だ。ただ、クラフトビール人気で、最近はビールに香りや味を求める客層が確実に増えている。同社の商品作りには、追い風と言えそうだ。
(文=嶋田歩)
日刊工業新聞2016年6月17日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
もいビール担当していたのは20年以上も前。当時からサッポロは「不動産会社」化していたが、周りのビールにこだわりがある人は、なぜかサッポロ好きが多かった。

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