P&Gジャパン、日本企業にダイバーシティー研修プログラムを無償提供

社員が講師として受講企業を訪問しワークショップや議論

 P&Gジャパンは、ダイバーシティー経営の普及を支援するため、企業向けの研修を、年内に5回をめどに実施する。研修プログラムが5月にほぼ完成したことから、ノウハウや知見を日本企業に無償で提供する。ダイバーシティー経営の推進には、社員の家族、取引先など社外の理解・協力が欠かせない。優秀な人材の確保やブランド力向上につなげる狙いもある。

 P&Gジャパンは、ダイバーシティー経営を推進する啓発組織「P&G ダイバーシティー&インクルージョン啓発プロジェクト」を3月に立ち上げた。同社は性別や国籍、年齢など多様な人材を活用した施策を「ビジネス戦略の重要な一部」(スタニスラブ・ベセラ社長)と位置付けている。

 プロジェクトの一環として、自社のダイバーシティー経営に関する研修を発展させた日本企業向けの研修プログラムを5月にほぼ完成させた。同社社員が講師として受講企業を訪問し、ワークショップや議論を交えながら組織の課題を顕在化し改善に導く。研修は1回。現在は人事職や管理職が対象だが、将来は学生も視野に広げる方針。人材育成で連携協定を結んだ神戸市役所などで5月に2回試験実施し、日本企業に適した研修内容かどうかを検証した。今後約3年をかけて事業化の可否などの方向性を確認する方針だ。

 P&Gジャパン社員の国籍数は18カ国、課長級以上の管理職は女性が32%を占める。90年代からダイバーシティー経営を進め、階層別研修のほか育児や介護に配慮した勤務時間の設定にも取り組んでいる。

 政府は日本再興戦略の中で、指導的地位を占める女性の割合を20年に30%まで高める政策目標を掲げている。少子高齢化を背景に女性の活躍推進や男性の育児参加など、企業の取り組みが一層求められており、企業の先行事例が注目されそうだ。
(文=山下絵梨)

日刊工業新聞2016年6月7日

神崎 明子

神崎 明子
06月12日
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さまざまな属性や価値観を持つ人を積極的に活用し、その能力発揮を後押しするダイバーシティー経営―。労働力不足への対応だけが狙いではない。収益向上に直結する経営戦略であるとの認識の広がりが企業の背中を押している。「男性・正社員」中心の硬直的な働き方に支えられてきた産業構造に行き詰まりを感じている日本にとって、潜在的な内需を掘り起こしたり、技術革新を生み出すには、多様な価値観が欠かせないからだ。実際に、生産性向上や新たな商品開発につながった効果を実感している企業も少なくない。とかく同質化、硬直化しがちな組織に、生活者目線や消費者目線といった異なる視点が持ち込まれることで、不祥事が発生しにくい企業風土が醸成される効果を指摘する声もある。政府も「日本が『価値創造経済』への転換を遂げるにはダイバーシティー経営の推進が欠かせない」との考えだ。

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