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横浜国立大が「文理融合型」の産学連携。大型プロジェクト呼び込む

産業ビジョン策定し、技術・ビジネスモデル開発
 横浜国立大学は10月に、経営学と理工系の研究者が協力して取り組む文理融合型の産学連携を始める。産学で将来の産業ビジョンを策定し、実現する技術やビジネスモデルを開発する。産業界で進むオープンイノベーションの流れにも対応する。横浜国大は現在約20億円の共同研究などによる外部資金について3割増を目指す。

 文理融合型の産学連携に向けて、横浜国立大学研究推進機構の産学官連携推進部門にコンサルティング機能を設けた。この連携によって企業は事業戦略の立案から技術開発までを大学と共同で構想できる。大学も大型プロジェクトを呼び込みやすくなる。

 年間3件程度のビジョン策定に取り組む。対象はロボット関連企業などを想定する。企業だけでなく、神奈川県など行政機関との連携も探る。

 産業ビジョンは学内の技術シーズをベースに立案するのではなく、ビジョンから必要な技術を選定する「バックキャスト」の手法を採用する。経営学や経済学部など人文社会系の研究者が事業戦略などを、理工系の研究者が技術戦略をサポートする。2015年度の試行を踏まえ、16年度から本格展開する。

 有望だと大学が認めた技術については、大学が予算を配分して研究を促す。ビジョンの実現に必要だが横浜国大が保有していない技術は、他大学や企業から募る。

 大企業であっても新事業部門など人的資源が限られる部署では、文理横断的な戦略立案は難しい。今回の横浜国大の枠組みを使えば、企業は自社では限りがある幅広い知見を大学から得られる。さらに大学と長期的な戦略を共有すれば、外部の技術開発と自社のビジネスモデルを研究段階からすり合わせられる。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
国立大学は国から支給される運営交付金が減少している。このため企業との共同研究費など外部資金の獲得が課題になっている。まずもって文系、理系を分ける必然性がこれから段々をなくなってくるだろう。いかに大学自身も変わっていけるか国立・私立問わず「変革競争」の時代。

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