近未来の車内空間を征するサプライヤーはどこだ!

JVCケンウッドが電子ミラー実用化へ。後・左右映像を一つの絵に

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バックミラーの位置にあるディスプレーには、後ろと左右の映像を合成している(奥は車外のスクリーン)
 カメラで撮影した車外の映像をミラーの代替として利用する電子ミラー。安全運転や燃費改善に貢献するため、注目される次世代技術の一つだ。実用化に向け車載機器各社が技術開発を競うなか、JVCケンウッドは1画面に後ろと左右の映像をまとめた端末を開発した。先進技術を採用しながら、運転の邪魔をしないシンプルな形状を提案する。

 JVCケンウッドは英マクラーレン・オートモーティブの高級スポーツカー「675LT」に、ヘッドアップディスプレー(HUD)や電子ミラーの最新技術を搭載して展示会用のショーカーを製作した。

 乗り込むと、非常にシンプルな内装に驚かされる。ダッシュボード周辺には何もなく、情報表示はHUDと大きめのバックミラーに集約されている。このバックミラーに見えるのが、後ろと左右のカメラ映像を合成した電子ミラーだ。

 電子ミラーは従来のミラーで死角となっていた場所も視認できる。安全運転支援技術として、特に欧米自動車メーカーが導入に意欲的だ。またサイドミラーをなくせば、空気抵抗を減らして燃費も向上できる。外観デザインの自由度も増す。

 現在公開されている各社の電子ミラーの試作機は、後ろと左右のカメラ映像を別々のディスプレーに映すものが多い。JVCケンウッドも同様の技術を持つが、高速走行する時にディスプレーが多いと運転に集中できないため、今回は最もシンプルな構造を追求した。

 「実使用上の違和感のない“一つの絵”にこだわった」(同社担当者)という。首を動かさずに、この端末だけで左右を確認できる。

 同社は放送用映像などで培った合成技術を活用し、自動車の要求事項に対応した開発プロセスにして車向けの信頼性を高めている。カメラは伝送スピードと画質のバランスを考えた画素数1メガピクセルのカメラを採用した。

 電子ミラーは今夏国際規格化され、2017―18年には実用化される見通しだ。競合はデンソーやパナソニック、仏ヴァレオといった自動車部品大手がひしめく。

 厳しい競争が予想される中、今回の画像合成技術はJVCケンウッドの特徴となりそうだ。「欧州では、シームレスでワイドな映像のニーズが高い」(同)とみて、まず先行導入が予想される欧州勢からの受注を目指す。

デンソーが次世代コックピット


日刊工業新聞2015年11月6日



(デンソーの「ハーモニアス・コミュニケーション・コックピット」)

 「第44回東京モーターショー」では、部品メーカーを中心に多くの次世代コックピットが出展されている。自動運転技術の搭載を想定した仕様となっており、一足先に近未来の技術や車内空間を体感できる。

 デンソーが披露した「ハーモニアス・コミュニケーション・コックピット」は、2020年の実用化を目指した技術が盛りだくさんだ。体験内容は「駐車場出庫」や「自動合流アシスト」「レーンチェンジ」などから選べる。

 「自転車接近」では後ろから迫る自転車をカメラでとらえ、電子ミラーに注意喚起の印とともに映し出した。死角になりやすい状況だけに、安心感につながりそうだ。次に「緊急退避」も体験。オペレーターの指示に従い、体を大きく左に傾けると画像認識で運転不能と判断し、路肩に自動運転で退避した。救急車も自動で呼んでくれる。

 豊田合成のコックピット「リンク」は光や香り、音楽を多用して快適な移動空間を演出する。まず、ハンドルを握ると体調を診断。「緊張しています」と表示された。自動運転での走行中は発光ダイオード(LED)の光などを使い、風で葉っぱが飛ばされる映像などが室内に映し出されて爽快な気分になる。

 東海理化の同「フューチャーインタラクティブコックピット」は、指を伸ばすジェスチャー操作で高速道路に乗るかどうかなど車からの問いかけに応えたり、ハンドル中央のパッド上を指でなぞって操作したりする。エアコン操作もスマートフォンを使うようにして赤や青の照明色の濃淡で温度を表すなど、自ら操作する場面の多い体験型コックピットだ。

日刊工業新聞2016年6月10日

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

デンソーは昨年、東大発ベンチャーでモルフォと資本提携するなど画像処理ソフトの分野にも力を入れている。巨人・デンソーに各社はどう挑むか。

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