大好評「地方発のロングセラー食品」第2弾―長く愛され、食される秘密
三重・冷凍干物、福岡はキャベツのうまたれと雑穀米の二つ
ゴールデンウィーク真っ直中。国内旅行に出かけている方はお土産に悩む人も多いはず。東京やネットで買えるものもあるが、その土地の雰囲気を感じてこそ味わいも深まる。
【ギョルメ舎フーズ、他ではまねできない食感の冷凍干物】
ギョルメ舎フーズは冷凍干物「レンジ料亭シリーズ」を2006年に発売した。出力500ワットの電子レンジで1―2分加熱するだけで簡単に干物が食べられる。
アジの開きやサンマのみりん焼きなど全8種類あり、価格は200―300円。焼く手間や後かたづけの必要がなく、高齢者や単身者などに好評だ。インターネット経由やスーパーなどでこれまでに約1億4000万円を売り上げた。
旬の魚を全国から取り寄せて、三重県の自社工場で干物に加工する。干物独特の外はパリッと中はジューシーな食感にするため蒸し焼きと表面焼きの2度焼きする。焼く温度や時間、スチームのかけ方など長年研究し「他社にはまねできない食感になった」(東良彦社長)と胸を張る。
魚の骨があって食べにくいといった声もあることから、07年には「そのまんまレンジシリーズ」を開発。骨を手作業で取り除いたサンマみりんとサンマの開きを各300円で発売した。 袋の中に専用のトレーを入れて温め後の干物を皿に移す手間をなくしたり、マヨネーズやおろしショウガなど薬味も付けた。これからもよりきめ細かい商品を開発する考えだ。
【久原本家グループ本社、博多の屋台の雰囲気が味わえるキャベツのうまたれ】
博多の屋台で焼き鳥や豚バラ肉を注文すると前菜感覚でざく切りキャベツが出てくる。そのざく切りキャベツにかけてある酢ベースのタレを商品化したのが、久原本家グループ本社の「博多のやきとり屋さんキャベツのうまたれ」だ。
初めてスーパーマーケットの店頭に並んだのは1999年。年間120万本を販売したこともあるほどの人気商品。以来、博多の食文化を伝えるご当地調味料として全国の百貨店や量販店などで販売され続けている。河邉哲司社長の友人のひと言が商品化につながった。味を確立するために、スタッフが博多中の評判のやきとり屋を食べ歩いたという。
「ネーミングと黒酢入りというヘルシーなイメージが消費者に受けた」(管理部広報課)。また「生協の商品に取り扱ってもらったことが販路拡大につながった」(同)という。現在、量販店では野菜のすぐ前に並べて売る“青果戦略”を採用。併せて食べ方レシピも設置するなど地道な販促に取り組む。 その一方で、トマトやきゅうり、もやし用のうまたれシリーズを発売。同社の“野菜応援隊”という営業チームが、食べ方の提案も含めてさらなる販路拡大を進める。
【ベストアメニティ、キビ、アワ、ヒエなど16種類の雑穀米】
米に混ぜて炊くと風味や食感が上がる。「雑穀米はロングセラーというより、日本人の食習慣」。ベストアメニティの内田弘社長は、この20年で商品が日本の家庭に浸透したと手応えを感じている。今や自社ブランドだけでなく、量販店や通販、生協など約100社にOEM(相手先ブランド)供給するほど。
同社の雑穀米はキビ、アワ、ヒエなど16種類の国内産雑穀を、独自の比率で配合したもの。食べものなのでおいしいのは基本だが「冷めてもくさくならない」(内田弘社長)を念頭に、試行錯誤を繰り返しながら配合率を見いだした。
雑穀は昔から、家族の健康のために農家でつくられてきた。しかし、戦後の食糧政策の転換により、食卓から姿を消した。これを復活させ、さらに進化させたのが内田社長だ。全国津々浦々を訪ね、16種類の雑穀をつくってくれと頼み歩いて商品化し、育て上げた。
OEMでは“元気になる”“美容”“ダイエット”など、キーワードに応じて配合率を調整する。もちろん「冷めてもくさくならない」は変わらない。これがまた、需要を広げた。いまや“雑穀米”は炊飯ジャーの炊飯モード表示となり、暮らしに溶け込んでいる。
●ギョルメ舎フーズ▽所在地=三重県北牟婁郡紀北町紀伊長島区長島1719の22▽社長=東良彦氏▽発売時期=2006年
●久原本家グループ本社▽所在地=福岡県久山町猪野1442▽社長=河邉哲司氏▽発売時期=1999年
●ベストアメニティ▽所在地=福岡県久留米市三潴町田川32の3▽社長=内田弘氏▽発売時期=1994年
※毎週金曜日に日刊工業新聞で連載している「キラリわが社のロングセラー」の中からセレクト。
【ギョルメ舎フーズ、他ではまねできない食感の冷凍干物】
ギョルメ舎フーズは冷凍干物「レンジ料亭シリーズ」を2006年に発売した。出力500ワットの電子レンジで1―2分加熱するだけで簡単に干物が食べられる。
アジの開きやサンマのみりん焼きなど全8種類あり、価格は200―300円。焼く手間や後かたづけの必要がなく、高齢者や単身者などに好評だ。インターネット経由やスーパーなどでこれまでに約1億4000万円を売り上げた。
旬の魚を全国から取り寄せて、三重県の自社工場で干物に加工する。干物独特の外はパリッと中はジューシーな食感にするため蒸し焼きと表面焼きの2度焼きする。焼く温度や時間、スチームのかけ方など長年研究し「他社にはまねできない食感になった」(東良彦社長)と胸を張る。
魚の骨があって食べにくいといった声もあることから、07年には「そのまんまレンジシリーズ」を開発。骨を手作業で取り除いたサンマみりんとサンマの開きを各300円で発売した。 袋の中に専用のトレーを入れて温め後の干物を皿に移す手間をなくしたり、マヨネーズやおろしショウガなど薬味も付けた。これからもよりきめ細かい商品を開発する考えだ。
【久原本家グループ本社、博多の屋台の雰囲気が味わえるキャベツのうまたれ】
博多の屋台で焼き鳥や豚バラ肉を注文すると前菜感覚でざく切りキャベツが出てくる。そのざく切りキャベツにかけてある酢ベースのタレを商品化したのが、久原本家グループ本社の「博多のやきとり屋さんキャベツのうまたれ」だ。
初めてスーパーマーケットの店頭に並んだのは1999年。年間120万本を販売したこともあるほどの人気商品。以来、博多の食文化を伝えるご当地調味料として全国の百貨店や量販店などで販売され続けている。河邉哲司社長の友人のひと言が商品化につながった。味を確立するために、スタッフが博多中の評判のやきとり屋を食べ歩いたという。
「ネーミングと黒酢入りというヘルシーなイメージが消費者に受けた」(管理部広報課)。また「生協の商品に取り扱ってもらったことが販路拡大につながった」(同)という。現在、量販店では野菜のすぐ前に並べて売る“青果戦略”を採用。併せて食べ方レシピも設置するなど地道な販促に取り組む。 その一方で、トマトやきゅうり、もやし用のうまたれシリーズを発売。同社の“野菜応援隊”という営業チームが、食べ方の提案も含めてさらなる販路拡大を進める。
【ベストアメニティ、キビ、アワ、ヒエなど16種類の雑穀米】
米に混ぜて炊くと風味や食感が上がる。「雑穀米はロングセラーというより、日本人の食習慣」。ベストアメニティの内田弘社長は、この20年で商品が日本の家庭に浸透したと手応えを感じている。今や自社ブランドだけでなく、量販店や通販、生協など約100社にOEM(相手先ブランド)供給するほど。
同社の雑穀米はキビ、アワ、ヒエなど16種類の国内産雑穀を、独自の比率で配合したもの。食べものなのでおいしいのは基本だが「冷めてもくさくならない」(内田弘社長)を念頭に、試行錯誤を繰り返しながら配合率を見いだした。
雑穀は昔から、家族の健康のために農家でつくられてきた。しかし、戦後の食糧政策の転換により、食卓から姿を消した。これを復活させ、さらに進化させたのが内田社長だ。全国津々浦々を訪ね、16種類の雑穀をつくってくれと頼み歩いて商品化し、育て上げた。
OEMでは“元気になる”“美容”“ダイエット”など、キーワードに応じて配合率を調整する。もちろん「冷めてもくさくならない」は変わらない。これがまた、需要を広げた。いまや“雑穀米”は炊飯ジャーの炊飯モード表示となり、暮らしに溶け込んでいる。
●ギョルメ舎フーズ▽所在地=三重県北牟婁郡紀北町紀伊長島区長島1719の22▽社長=東良彦氏▽発売時期=2006年
●久原本家グループ本社▽所在地=福岡県久山町猪野1442▽社長=河邉哲司氏▽発売時期=1999年
●ベストアメニティ▽所在地=福岡県久留米市三潴町田川32の3▽社長=内田弘氏▽発売時期=1994年
※毎週金曜日に日刊工業新聞で連載している「キラリわが社のロングセラー」の中からセレクト。
日刊工業新聞2013年06月14日、2014年05月09日、同2014年10月17日 列島ネット面