4―6月期GDP「0%台」か。雇用が伸びているのになぜ潜在成長率が上がらない?
シンクタンク予測。供給サイドの構造改革、地道に継続を
4―6月期の実質国内総生産(GDP)成長率が年率換算で0%台の低い伸びにとどまる見通しだ。日本経済研究センターが7日発表した6月のESPフォーキャスト調査(シンクタンク予測)によると、39機関は平均でプラス0・12%の低成長と予測。円高、中国・新興国の経済減速、さらに回復力の弱い内需に熊本地震が重なった影響が出る。中でも円高が2016年度の企業収益を圧迫しかねず、円安に支えられた前年度の収益環境に“暗雲”が垂れ込めつつある。
ESPフォーキャスト調査によると、1―3月期の実質GDP成長率(年率)の速報値が“うるう年効果”もあってプラス1・7%だったのに対し、4―6月期はこの反動減も表れるとみられる。
内需は、GDPの約6割を占める個人消費の回復力が依然弱い。総務省の家計調査では、4月の実質消費支出は前年同月比0・4%減で、うるう年効果で増加の2月を除けば8カ月連続減少だった。
外需も、財務省の貿易統計によると、4月の輸出は前年同月比10・1%減と7カ月連続で減少。対アジア輸出が同11・1%減と大幅に減ったほか、熊本地震に伴う自動車工場の操業停止を受け、対米自動車輸出が同4・4%減に落ち込んだことなどが影響した。
4月の平均為替レートは1ドル=111・23円と前年同月比で7・2%の円高で、足元の為替相場はさらに円高が進行。財務省による1―3月期の法人企業統計では2四半期連続の減収減益だったが、4―6月期も厳しい経営環境が想定される。
米国の利上げ観測が後退したほか、英国が欧州連合(EU)を離脱すれば対ユーロ、対ドルで円はさらに買われやすくなる。また日本は17年度の消費増税延期に続き、参院選後の臨時国会に16年度第2次補正予算案(経済対策)を提出予定だが、積極財政は円高要因となりかねない。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「米連邦準備制度理事会(FRB)の中に、利上げができなくなることへの強い危機感が残っていれば、(米大統領選の11月までの期間では)7月の利上げがラストチャンス」と見通す。
一方、日本は米財務省のけん制により「日銀は6、7月の金融政策決定会合で金融緩和に動けない。為替の“口先介入”を行うことで円高に応じるほかないだろう」と見通す。
(文=神崎正樹)
8カ月連続減
ESPフォーキャスト調査によると、1―3月期の実質GDP成長率(年率)の速報値が“うるう年効果”もあってプラス1・7%だったのに対し、4―6月期はこの反動減も表れるとみられる。
内需は、GDPの約6割を占める個人消費の回復力が依然弱い。総務省の家計調査では、4月の実質消費支出は前年同月比0・4%減で、うるう年効果で増加の2月を除けば8カ月連続減少だった。
外需も、財務省の貿易統計によると、4月の輸出は前年同月比10・1%減と7カ月連続で減少。対アジア輸出が同11・1%減と大幅に減ったほか、熊本地震に伴う自動車工場の操業停止を受け、対米自動車輸出が同4・4%減に落ち込んだことなどが影響した。
円高基調、厳しい経営環境に
4月の平均為替レートは1ドル=111・23円と前年同月比で7・2%の円高で、足元の為替相場はさらに円高が進行。財務省による1―3月期の法人企業統計では2四半期連続の減収減益だったが、4―6月期も厳しい経営環境が想定される。
米国の利上げ観測が後退したほか、英国が欧州連合(EU)を離脱すれば対ユーロ、対ドルで円はさらに買われやすくなる。また日本は17年度の消費増税延期に続き、参院選後の臨時国会に16年度第2次補正予算案(経済対策)を提出予定だが、積極財政は円高要因となりかねない。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「米連邦準備制度理事会(FRB)の中に、利上げができなくなることへの強い危機感が残っていれば、(米大統領選の11月までの期間では)7月の利上げがラストチャンス」と見通す。
一方、日本は米財務省のけん制により「日銀は6、7月の金融政策決定会合で金融緩和に動けない。為替の“口先介入”を行うことで円高に応じるほかないだろう」と見通す。
(文=神崎正樹)
日刊工業新聞2016年6月8日