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IoTの普及で半導体の旧世代技術に脚光

キヤノンMJが装置を拡充
IoTの普及で半導体の旧世代技術に脚光

スイスEvatecのスパッタリング装置

 キヤノンマーケティングジャパン(MJ)は、レガシー(非先端)系の半導体製造装置のラインアップを拡充する。2016年中に2社程度の半導体製造装置メーカーと販売代理店契約を結ぶ計画だ。IoT(モノのインターネット)や先進運転支援システム(ADAS)の普及でセンサーやアナログ半導体の需要が伸び、非先端技術に脚光が集まっている。同社はラインアップの強化で需要を取り込み、17年までにレガシー向け装置の分野で20―30%の売り上げ成長を目指す。

 キヤノンMJは露光以外の製造工程から検査工程までを担う半導体製造装置の販売と、保守サポートを手がけている。現在は海外メーカーを中心に15社程度と販売代理店契約を結ぶ。

 直径200ミリメートル以下のウエハーに対応するレガシー系装置は、電子部品や自動車部品メーカーを中心に引き合いが活発になっている。キヤノンMJはこの1―2年ほどで、スパッタ蒸着装置やエッチャーといった製品群を拡充してきた。16年は計測器や加工機など、特徴的で高い技術や性能を備える装置を対象に拡充を図る。

 取り扱う製品を増やすことで、複数の装置を組み合わせるソリューション提案を強化する。複数の装置を組み合わせてコスト削減や生産工程の削減につなげることで、顧客を取り込む。またレガシー半導体の需要増で、中古機を再活用するビジネスも拡大している。保守サポートも成長が見込めるため、人員の増強も視野に入れる。製品とサービスの両面を強化して16年は受注を積み上げ、17年に半導体事業全体で2ケタ成長を狙う。
日刊工業新聞2016年6月8日
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
キヤノンMJは過去に半導体製造装置を開発していた歴史もあり、販売代理店ながら技術力を強みとしている点が特徴的。半導体やフラットパネルディスプレーの先端装置はキヤノン本体が開発、販売、サポートまで手がけていることもあり、IoTの拡大を商機として独自の戦略で事業成長を図る。最近は装置メーカーもIoTをターゲットにした戦略を強化する動きが目立つ。TSMCやサムスン、インテルが線幅数ナノメートルという先端技術を発展させている一方で、レガシー技術が一つの大きな潮流となるのだろうか。

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