「破たん」劇的ビフォーアフター!JALは変わったか(21)777から350へ

業界に衝撃が走った主力機交代。エアバスに技術者が駐在し仕様詰める

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A350の模型を持ち笑顔がこぼれる日本航空の植木社長㊨とエアバスのファブリス・ブレジエ社長兼CEO
 「よい飛行機を後輩のために残したい」。日本航空(JAL)社長の植木義晴は、米ボーイング777型機に代わる主力大型機に欧エアバス350型機を選んだ理由をこう述べた。JALは46機保有する777を、2019年から6年かけてA350に置き換える。航空機は日本と米国の貿易不均衡を是正する商材として政治に利用され、日本の航空会社は機材調達をボーイング1社に依存してきた。JALが主力機をボーイングからエアバスに転換するという決定は、航空業界に大きなインパクトを与えた。

 2月上旬、JALの客室の技術者などが初めて独・ハンブルクにあるエアバスの施設を訪れ、客室の仕様などを話し合った。経営企画本部経営戦略部機材グループ長の西山一郎は「こうした話し合いを3カ月に1度くらいの頻度でやっていきたい」と話す。JALはエアバスのオフィスがある仏・トゥールーズに技術者を1名派遣しており、部品の製造が始まる16年をめどに機内の配置や座席の仕様などを決め、派遣する技術者を増やす。

 植木はA350のメリットを「大幅な燃費改善」とした。JALは13年10月に最大25機の追加を含め合計56機を発注。777の後継機材である777―Xも候補として検討したが、JALは経済性と納入時期を重視し、A350を選んだ。A350は14年に初号機がカタール航空に納入され、すでに営業運航が始まっている。777の退役が始まる19年の受領が遅れるリスクはほとんどない。

 A350の契約はこれまでの機材調達のスケジュールに比べて、1年半ほど早いという。JALが機材の検討を早めたのは、やはり経営破たんが影響している。西山はJALフィロソフィにある「土俵の真ん中で相撲を取る」を例に挙げ、「従来は俵に足がかかった状態で交渉し、焦って不利な条件になることがあった」と話す。

 JALはエアバスとの契約額を公表していないが、定価の9500億円を大きく下回る額で契約し、受領後のサポートでも有利な条件を引き出した。A350の契約は、単にボーイングからエアバスへの乗り換えというだけでなく、JALの投資や採算への意識の変化がもたらした経営上の大きな方向転換と言える。(敬称略)

日刊工業新聞2015年04月08日 建設・エネルギー・生活面

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

航空会社がA350に熱視線を送る最大の理由は燃費の良さ。機体の骨組みの53%に炭素繊維強化プラスチックなどの複合材を採用し軽量化している。現在の主力の777と比べ1座席あたりの燃費が最大25%向上するという。燃油高騰に苦しむ航空各社にとって魅力だ。A350などの長胴型大型機は、アジア太平洋地域が最大市場、他の航空会社も一斉に発注している。JALがどのような条件で契約したか興味深い。

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エアバス ボーイング

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