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EVベンチャーがタイのガソリンスタンド200カ所に電池交換施設

FOMMが生産・販売見据え現地企業と提携
EVベンチャーがタイのガソリンスタンド200カ所に電池交換施設

開発した新コンセプトのEV

 FOMM(フォム、川崎市幸区、鶴巻日出夫社長)は、タイで生産・販売を予定する自社開発の電気自動車(EV)の普及に向け、現地石油精製大手のバンチャック・ペトロとガソリンスタンド(GS)約200カ所にEV用バッテリー交換施設を設置する覚書を交わした。FOMMは2017年9月に量産することで別の現地企業と最終調整しており、EVのインフラ整備により、初年度1万台の販売を目指す。

 FOMMは新コンセプトのEVを設計・開発するファブレス企業。量産に向けて現地企業と共同企業体を設立することで交渉しており、タイのほかマレーシアやインドネシアなどにも輸出する計画だ。

 開発したEVの航続距離は150キロメートルで、クーラー使用時は3分の2の100キロメートル程度になる。このため、バッテリーはカセット式とし、GSで容易に交換できる環境を構築して、利用者の不安感を取り除く。カセット式の利点を生かし、バッテリーはリースで提供する計画だ。

 同社のEVは4人乗りで、車両は全長2495ミリ×全幅1295ミリ×全高1570ミリメートル。価格は100万円程度での販売を想定している。水に浮き、水上を走行できる点も特徴。樹脂で一体成形したボディーと特殊加工のホイールにより低速ながら水上を移動できる。

 量産準備と並行して欧州のEV規格「L7e」を取得する。欧州への輸出も計画しており、数年後には3万―4万台の販売を見込んでいる。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
鶴巻社長は小型EVコンセプトだけではなかなか購入まで結びつけるのは難しいとみているようだ。電池交換式で電気代だけを払う仕組みは、大きなEVではできない。FOMMのようなサイズではあればEVバイクなどとも電池は共用化できるだろう。アジアなどで市場が生まれる可能性もあり期待したいところ。

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