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東芝機械、いよいよ中国で産業用ロボット生産

初の海外生産。大手メーカーは戦略の違い明確に
東芝機械、いよいよ中国で産業用ロボット生産

中国で生産するスカラロボット「THLシリーズ」

 東芝機械は2016年度内をめどに中国で産業用ロボットの生産を始める。ロボットの海外生産は同社にとって初めてとなる。射出成形機などを手がける上海工場(上海市)の一部をロボット生産用に作りかえる。労働力不足などにより中国でロボット需要が急拡大する中、現地生産化で競争力を底上げし、電気・電子分野などの開拓を加速させる。また、為替変動リスクを低減することも目的。スタート時は月間100台程度を生産する計画だ。

 射出成形機、ダイカストマシンなどの製造子会社「東芝機械上海」でロボットの生産を始める。15年にナブテスコに事業譲渡した油圧機器の製造スペース約500平方メートルが空いているため、この場所をロボットの生産に活用する。既存の設備を有効利用し、投資を数千万円程度に抑える。生産能力は最大で月間200台程度。国内工場と合わせると能力は現状の倍近くになる見通しだ。

 中国では人手不足や人件費高騰によりロボット需要が急拡大している。その半面ロボットメーカー間のシェア争いは激しく、東芝機械は競争力確保のため、ここ数年現地での生産を検討してきた。ロボットの販売が順調に伸び、生産用のスペースも確保できたため、現地生産化に踏み切る。

 中国で生産するのは水平多関節(スカラ)ロボット「THLシリーズ」など。当面は基幹部品を日本から供給するノックダウン方式で生産する。

 ロボット業界では近年、需要拡大が顕著な中国で生産する企業が増えている。一方でファナック三菱電機など全量国内生産を続ける例もあり、メーカーによって戦略が分かれている。

日刊工業新聞2016年6月7日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ファナックの稲葉善治社長は「国内で自動化を徹底して生産性を高め、国際競争力をつけることに力を注ぎたい」と全量国内生産の方針を貫く。一方、安川電機は「(中国では)日本以上に即納が求められる」(南善勝取締役)として2013年に現地生産を開始した。戦略の違いが今後の競争にどう影響するか、注目したい。 (日刊工業新聞社第一産業部・藤崎竜介)

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