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ようやく脚光!?FA機器管理規格「ORiN」に次世代版

ロボット工業会が開発に着手。欧米との親和性をウリに18年度実用化へ
ようやく脚光!?FA機器管理規格「ORiN」に次世代版

あらゆる機器を安全につなぐ規格を開発する

 日本ロボット工業会は、異なるメーカーの工場自動化(FA)機器を共通のソフトウエアで管理できる規格「ORiN(オライン)」の次世代版「オライン3」を開発する。セキュリティー機能や使いやすさなどを改善し、2018年度の実用化を目指す。IoT(モノのインターネット)が注目され“つながる工場”が構想される中、FA機器などを円滑に連携させる手段として活用を促す。

 日本ロボット工業会は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として、現状の「オライン2」を改良し、普及拡大につなげる。安川電機デンソーウェーブ(愛知県阿久比町)、富士通など10社前後で構成する検討委員会を設置した。

 今秋までは調査期間とし、委員会がアンケートなどでユーザー側の改善要求を明確化する。その後仕様書の作成に入り、17年度末までに完成させたい考えだ。事業費は調査期間が1900万円前後、以後は未定。

 改良テーマの一つがセキュリティー。プログラムデータなどを守る仕組みを構築し、あらゆる機器をつないでもユーザーが安心してシステムを運用できるようにする。また、現状では適用するのにプログラミングなどの知識が必要だが、より使いやすくすることで裾野の拡大を図る。

 オラインはFA機器と生産管理ソフトなどを標準的手法で接続するための規格。ハードウエアに関する規定がなく、異なるメーカーの機器に対応できるのが特徴だ。

 システム構築(SI)の手間が省けることなどから近年採用する企業が増えている。今後は工場用IoTを具現化する手段としてさらなる普及が期待される。
日刊工業新聞2016年6月6日 
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
2000年代前半に開発されたが、その後は長らく“知る人ぞ知る規格”だったORiN。昨今、国内電機系大手が相次いで採用し、ようやく日の目を見つつある。特定のベンダーに依存せずあらゆる機器をITシステムにつなぐ思想は、ドイツのインダストリー4・0(I4・0)や米国のインダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)といった動きとの親和性が極めて高い。日本発の規格で次代のFAシステムを提唱する好機かもしれない。 (日刊工業新聞社第一産業部・藤崎竜介)

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