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資本性のリスクマネーが少ない地方。銀行はその担い手になるか

北洋銀、中小ファンド10億円に倍増
 【札幌】北洋銀行は北海道内の中小企業を支援する「北洋イノベーションファンド」の総額を5億円から10億円に倍増した。独自技術を活用して新商品を開発するモノづくり企業に加え、インバウンド(訪日外国人)向けやアウトバウンド事業に挑戦する観光関連企業への投資も積極的に実施する。同ファンドは2012年に組成。技術や商品に優位性があり、成長が見込まれる道内企業の取り組みに対し、株式引き受けにより支援することを目的としている。これまで27社に4億9542万円を出資した。

紀陽とみずほ、和歌山の産業支援で協定


日刊工業新聞2015年10月19日


 紀陽銀行とみずほ銀行は16日、和歌山県の地方創生に関する協定を結んだ。互いのネットワークを生かした県内事業者へのビジネス支援、情報や知見の交換、PPP(官民連携)・PFI(民間資金活用による社会資本整備)事業の推進などを柱とする。紀陽銀・みずほ銀ともに、地方創生に関わる金融機関2者間の協定は初。

 具体的には庁舎の建て替えなどによる産業クラスター形成支援や、農業・漁業分野の海外マーケット展開などを強化する。松岡靖之紀陽銀頭取は、「事業所の減少が続き地域の疲弊感が見られる中、ノウハウ連携によって大きな相乗効果を示したい」と話した。

 また河野雅明みずほ銀副頭取は「和歌山の地方創生をモデルケースにして、全国に展開したい」と、他の地方銀行との連携も進める可能性も示した。

 みずほ銀は、全国で13件の6次産業化ファンドを各地の地銀と共同で立ち上げており、メガバンクの中でも地域社会への関わりは強い。紀陽銀とは2014年に「紀陽6次産業化ファンド」を立ち上げ、養殖ブリのフィレ加工・販売の食縁(和歌山県新宮市)に投資している。
日刊工業新聞2016年6月6日
安東泰志
安東泰志 Ando Yasushi ニューホライズンキャピタル 会長
地方には資本性のリスクマネーの担い手が少ないことはわかるし、地方の未公開企業に株主ガバナンスを無理に導入するのが難しいこともわかる。しかし、債権者として融資の回収や債権の保全を第一に考える宿命にある銀行が、自らが運用するファンドを通して株主の立場で企業に関与することは、その他株主との間で根本的な利益相反があるし、銀行による優越的地位の濫用の危険もあることには、やはり十分に留意すべきだろう。

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