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地面に埋めた電気式マットで雪溶かす

新潟工大、低コストの装置開発
地面に埋めた電気式マットで雪溶かす

住宅地向けに開発した融雪装置(新潟工大提供)

 新潟工科大学工学部建築学科長の富永禎秀(よしひで)教授らは、降雪地域の住宅地向けに低コストの融雪装置を開発した。地面に埋設した同装置に雪を投入し、底部にある電気式のマットで時間をかけて溶かす仕組み。住宅メーカーなどと連携し、2017年夏ごろの製品化を目指す。価格は一般的な装置の半額以下の35万円程度に設定できる見通し。積み上げられ固まった後の融雪手段として活用を見込む。

 装置の底部の電気式マットは傾斜しており、投入した雪は電気式マットを滑り落ちる。雪が滑り落ちた先に熱源があり、常に雪が熱源と接触して効率的に融雪できる。雪が溶けて発生した水は排水溝へ流れる。

 従来の融雪装置はガスを使い、高温かつ短時間で雪を処分していた。ボイラなど多くの装置を必要とすることからコストが高くなるほか、事故が発生する危険性があった。

 開発した装置の大きさは、縦1000ミリ×横2000ミリ×深さ600ミリメートル。除雪車によって雪が積み上げられる場所よりも住宅側に設置する。24時間かけて雪を溶かすため安全性に優れる。1日当たりの電気代は約160円と、従来装置の約3分の1に低減した。

 使用する際には、装置のふたを開け、スコップなどを使って雪を投入する。積み上げられた雪の高さが30センチ−50センチメートル程度であれば、女性でも10分程度で除雪作業が完了する。

 冬季の降雪が多い地域では、車道に積もった雪を明け方に除雪車でかき分けることが多い。かき分けられた雪は住宅地の車庫の前などに積み上げられると、時間の経過とともにブロックのように固まってしまい、車庫から車を出せないことがあるため、融雪装置の使用が不可欠となっている。
日刊工業新聞2016年6月3日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
最近は全国的に積雪が少なくなったと言われるが、雪かきの労力、腰を痛めるリスクが高い。ぜひ住宅メーカーと連携して普及を。

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