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増税延期、有力エコノミストが今後の日本経済を占う

「2年半後に増税できる保障はない」、「年末に株価2万円もあり得る」
 安倍政権が2017年度の消費増税延期を表明したことで、企業・個人のマインドにはプラスに作用するのかー。二人の有力エコノミストに聞いた。

ニッセイ基礎研究所専務理事・櫨(はじ)浩一氏


 今回、消費増税を先送りしたことで、足元のショックはなくなったが、社会保障の問題は先送りされた。社会保障の財源を考えれば、保障を引き下げるか、負担を増やすか、国債を増発するしかない。2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる。将来の増税ピッチが速くなり、先の世代にしわ寄せがいく。

 確かに、足元では有効求人倍率も改善してきており、リフレ派が指摘するようにもう少し我慢すれば、賃上げのメカニズムにつながるかもしれない。

 だが、2年半後に増税できる保障は何もない。いずれにしろリスクはあり、痛みを伴うが、今回は増税に踏み切るべきだったのではないだろうか。

SMBC日興証券チーフエコノミスト・牧野潤一氏


 消費増税延期となるが、率直に言うと株式市場への影響は限定的だ。今の日本株は政策より為替の影響を強く受けて動いている。ただ、増税延期で内需企業の業績が向上すれば、賃上げが起こり、日本経済は活性化するだろう。企業マインドにもポジティブに働き、増税による景気減速を懸念して手控えられていた投資も復活する。

 補正予算については10兆円規模を期待する投資家が多い。金額が小さければ投資家の失望を呼び、マイナスに働く恐れもある。

 今後のテーマは日銀の追加緩和、FOMC(米連邦公開市場委員会)の利上げ、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票などに移る。米国の利上げ方針が維持されれば、円安は続く。日銀の追加緩和にもよるが、年末には日経平均株価2万円もあり得る。
日刊工業新聞2016年6月2日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
先週、先々週は業界団体の定例総会が数多く開かれた。経営者に話を聞くと、意外とアベノミクス、安倍政権を評価する声が多い。あくまで民主党政権との比較もあるが。その枕詞に「政治の安定」というのがだいたいある。最近はトヨタの章男社長ではないが「意志ある~」が産業界でも流行っている。個人的には短期の経済状況にはあまり興味がない。デジタル産業革命という大きな潮流の中で日本が変わっていけるか。安倍政権には「意志ある施策」を。

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