エアバス 今年の受注は前年比4割ダウンへ! 一方で小型機は増産へ

ブレジエCEO「受注よりバックログ(受注残)が大切」

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受注目標を説明するブレジエ社長兼CEO(右)とエアバスが各工場に配備する部品穴あけ補助機械
 【独ハンブルク=戸村智幸】欧エアバスのファブリス・ブレジエ社長兼最高経営責任者(CEO)は31日(現地時間)、2016年の航空機受注目標を650機に設定したことを明らかにした。16年の引き渡し目標と同数。好調だった15年の受注実績1139機を大きく下回るものの、一定水準の確保を見込む。1―4月の受注実績は117機と低迷したが、ブレジエ社長兼CEOは「引き渡す機数よりは多く受注したい」と650機を年間目標に掲げた。

 同社は11年以降、12年を除いて毎年1000機以上受注。14年には過去最高の1796機を受注するなど好調を維持してきた。16年は受注が落ち込むが、ブレジエ社長兼CEOは「受注よりもバックログ(受注残)が重要」と述べた。

 ここ数年の好調な受注により、受注残は15年末時点で6787機にも上る。現在の生産ペースでは10年かかる規模だ。主力のハンブルク工場の生産ラインを17年半ばに増設するほか、各工場で自動化を推進し、増産を急ぐ。

 さらにアジア太平洋地域の経済成長により航空機需要は右肩上がりの成長が見込まれる。エアバスは34年の旅客機数が14年比2倍に増えると予想する。受注残をこなしつつ将来の需要増への対応も必要になる。受注環境の一服はエアバスにとって体制を整える時間になるかもしれない。

ベストセラー機「A320」は増産へ


 【独ハンブルク=戸村智幸】欧エアバスは30日(現地時間)、主力小型機「A320」の主要生産拠点であるハンブルク工場の生産ラインを2017年半ばに1本新設し、4本に増やすと発表した。受注残が積み上がるA320系の月産能力を現在の42機から19年に60機に増やすため。全社での生産自動化に向け、接合部分の穴あけ作業の補助機械を17年にも導入することを同時発表した。

 同工場で大型機「A380」の格納庫になっている部分を生産ラインに転換する。30日開いたイベントでトム・ウィリアムス最高業務責任者(COO)は「新しいラインにより、力強い成長が可能になる」と生産能力拡大に自信を示した。A320のもう一つの主要生産拠点の仏トゥールーズ工場から、内装取り付けのためにハンブルク工場への機体運搬をやめる。トゥールーズで客室も手がけ、数日間移動する手間をなくす。

 接合部分の穴あけ補助機械は、重量のある穴あけ機械を、腰に取り付けた疑似的な“第3の腕”で支える。機体の下で穴あけ機械を持ち上げる作業を第3の腕が代行することで生産性を高める。

 エアバスは15年末時点で約6800機と多数の受注残を抱え、現在のペースでは完成まで約10年かかる見込み。さらに、新興国の経済成長により、航空機需要は順調な伸びが見込まれる。同社は世界の旅客機数が34年に約3万6000機と14年比2倍増を予想しており、早期の生産拡大が必要になっている。

日刊工業新聞2015年06月02日付機械面、05月31日付1面の記事を再編集

COMMENT

航空機担当記者の現地レポートです。 航空機市場の冷え込みが深刻になってきました。エアバスの今年の受注目標は前年比4割減。主因は、原油安の影響で低燃費の新型機に対する魅力が低下し、旧型機の延命を図るエアラインが増えていることと、近年続いたLCCの「爆買い」が落ち着いたことです。エアバスとボーイングの激しい受注競争はいったんなくなりそう。来月開かれる世界最大級のファンボロー国際航空ショーも、最近に比べれば地味なものになるでしょう。 「これまでが絶好調過ぎた」とも言えます。エアバスはすでに10年分の受注残を抱えており、業界のトレンドはブレジエCEOの言葉通りしばらく「受注より受注残」となりそうです。

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