東レの産業繊維事業を占う子会社のタイ新工場
グループ一貫生産から逸脱するモデル。海外展開で現地企業と協力へ
東レハイブリッドコード(愛知県西尾市)は、タイに自動車ホースやタイヤなどに使う補強繊維の新工場を建設する。投資額は約5億円。提携先を含む生産能力は年2万トン(自社生産能力は年1200トン)で、2017年10月に量産を始める。
6月にサムットプラーカーン県に「トーレ・ハイブリッドコード・タイランド」を設立、10月に着工する。資本金は約5億円。日系タイヤメーカーや自動車ホース・ベルトメーカーに販路を広げ、21年に年間販売量1万2000トン、売上高58億円を目指す。
当プロジェクトで注目されるのは、これまでの東レグループの繊維事業運営と異なっていることです。東レグループは、自社生産糸を基本に加工までの一貫生産を優先して来ました。
しかし、今回は台湾やインドのメーカーに原糸生産を委託するだけでなく、撚糸ー織布、ディッピング(樹脂)加工においても台湾やインドのメーカーへの委託加工に加え、東レハイブリッドコードがタイに設立したTHCT(トーレ・ハイブリッドコード・タイランド)が生産、それをタイなどASEANやインド、そして日本で東レ製品として販売するものです。既に原糸を輸入して東レハイブリッドコードが撚糸ー織布、ディッピング加工・販売するオペレーションも軌道に乗っています。
日本の撚糸ー織布、ディッピング加工業界は厳しい状況に置かれています。タイヤコードなど各種コードに欠かせない撚糸ー織布、ディッピング加工は、タイヤメーカーのグローバル化に伴って国内需要が減少したことが大きく起因しています。しかも、肝心のポリエステルフィラメント・高強力糸は、国内合繊メーカーの撤退や縮小が相次いでおり、縮小傾向に歯止めがかかっていません。
<続きはコメント欄で>
6月にサムットプラーカーン県に「トーレ・ハイブリッドコード・タイランド」を設立、10月に着工する。資本金は約5億円。日系タイヤメーカーや自動車ホース・ベルトメーカーに販路を広げ、21年に年間販売量1万2000トン、売上高58億円を目指す。
ファシリテーター・峯岸研一氏の見方
当プロジェクトで注目されるのは、これまでの東レグループの繊維事業運営と異なっていることです。東レグループは、自社生産糸を基本に加工までの一貫生産を優先して来ました。
しかし、今回は台湾やインドのメーカーに原糸生産を委託するだけでなく、撚糸ー織布、ディッピング(樹脂)加工においても台湾やインドのメーカーへの委託加工に加え、東レハイブリッドコードがタイに設立したTHCT(トーレ・ハイブリッドコード・タイランド)が生産、それをタイなどASEANやインド、そして日本で東レ製品として販売するものです。既に原糸を輸入して東レハイブリッドコードが撚糸ー織布、ディッピング加工・販売するオペレーションも軌道に乗っています。
日本の撚糸ー織布、ディッピング加工業界は厳しい状況に置かれています。タイヤコードなど各種コードに欠かせない撚糸ー織布、ディッピング加工は、タイヤメーカーのグローバル化に伴って国内需要が減少したことが大きく起因しています。しかも、肝心のポリエステルフィラメント・高強力糸は、国内合繊メーカーの撤退や縮小が相次いでおり、縮小傾向に歯止めがかかっていません。
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日刊工業新聞2016年5月30日