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川重、民間航空機用エンジンのアフターサービスに参入

まず国内航空会社向けに試運転サービスなど
川重、民間航空機用エンジンのアフターサービスに参入

エアバスの最新鋭小型機「A320neo」のエンジン開発に参画している川重

 川崎重工業は2020年度以降に、民間航空機用ジェットエンジンのアフターサービス事業に本格参入する。これまで防衛省向けサービスは手がけてきたが、民間用エンジン向けは行っていなかった。川重は18年度以降にアフターサービス需要が拡大するとみる。収益性の高い同事業への参入で利益率向上につなげる。まずは国内市場をターゲットに据え、日本の航空会社とサービス化に向けた調整を始めている。同事業の売上高を25年度に、15年度比4倍強の2100億円規模を目指す。

 川重は現在、防衛省向け航空機用エンジンのアフターサービスを手がけるほか、民間航空機用ではスペアパーツを供給する。同社が共同開発に参画するエンジンの出荷が拡大しており、今後はサービス需要の伸長が期待できる。

 まずは国内航空会社向けに、エンジンの試運転サービスを提供する。エンジンの定期点検時に試運転を実施し、不具合箇所の特定などを行う。試運転を足がかりに、最終的にエンジンの分解・組み立て、部品補修まで業容を拡大する。詳細は今後詰めるが、同事業への参入に向け一定規模の投資も検討する。

 航空機用エンジン部品の生産では、国内拠点の整備も加速する。明石工場(兵庫県明石市)には18年度までの3年間で150億円を投資。同工場内に分散していたギア製品の設備を集約。70億円を投じて、同製品の開発・生産棟を新設する。

 併せて、小型シャフトなど小物部品の加工設備も1カ所に集める。80億円を投じ、新棟を建設するほか、切削加工機などの設備も導入する。

日刊工業新聞2016年5月27日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
IoTによるエアライン向けのデジタルサービスはゼネラルエレクトリック(GE)、ロールスロイス(RR)、プラットアンドホイットニー(PW)などのエンジンメーカーが展開していく中で、その下のレイヤーにいる日本メーカーはアフター事業でどのような特徴を出していけるか。川重もデジタルやソフト側の投資が増えていくだろう。

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