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JDI社長、御柱祭りに熱狂。「私に流れる“諏訪の血”は抑えられない」

柱の次は業績をぐいぐい引っ張れるか!?
JDI社長、御柱祭りに熱狂。「私に流れる“諏訪の血”は抑えられない」

「よいさ!」御柱の先頭に乗り、かけ声をかける有賀社長(中央)

 6年に1度、必ず熱狂してしまう祭がある。長野県諏訪地域にある諏訪大社の神事、御柱祭だ。6市町村の氏子が、山から切り出した計16本の大木を4カ所の各宮に運び、社殿の4隅に建ててご神木とする。

 茅野市出身で、保育園時代に父に連れられて見たのが最初だ。就職後は異なる地区の諏訪市に自宅を構え、30歳頃から毎回参加し地域との結束を深めてきた。当然今年も「祭りに出る」と宣言して休みをもらい、全行程に参加。前回創設した鼓笛隊「山吹隊」の特別顧問に就任し、常に特等席である御柱の前にいられたので、うれしい。

 本番は4―5月だが、年が明ければ本気モード。毎週末のように何かしら行事がある。正月には諏訪大社にお参りし、上社で最も太い「本宮一」の御柱を引けるよう祈願した。御柱を決める抽選当日も現地で見守った。

 4月2日は入社式を終えてから、山から里に木を下ろす「山出し」に駆けつけた。朝4時に起きて夕方まで御柱を引っ張り、夜は打ち上げというのを3日間繰り返す。御柱の重さは全部で数トン。全身筋肉痛で3日目には体がミシミシして立てないほどだ。「なぜこんなことをやっているんだろう」と思うが、それでも毎回、時期が来れば盛り上がるので不思議だ。

 最も印象的だったのが前回。歴史上初めてメーンの「本宮一」の御柱を引けたのもあるが、祭り中に事件が起きた。山から下ろした御柱を川に落とす「木落とし」の際に先回りして川に入った際溺れてしまったのだ。必死でもがいて事なきを得たが、肝を冷やした。

 祭りの魅力は一体感だ。御柱は重い上に2000人で引くので、呼吸が合わなければ動かない。大人数で一つの物事を動かす点は、会社と同じだ。そして6年単位で人生を振り返る。祭は6年に1度リフレッシュしスイッチを切り替えるタイミングになっている。

 もう一つの醍醐味(だいごみ)は引かれる御柱の上に乗ること。今年はもくろみ通り「里曳き」で、柱を諏訪大社に引き入れる道中に柱の中央に乗った。私に流れる「諏訪の血」は抑えられないようだ。
日刊工業新聞2016年5月27日「週末は別人」より
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
有賀さんに最初に取材したのはエプソン時代の液晶事業部長ぐらいだったかもしれない。その後、三洋電機との合弁会社の副社長になり(のちにエプソンが100%子会社化)、そしてソニーの事業と統合しソニーの子会社になる。そして東芝、日立、ソニーの中小型液晶が一緒になりJDIが誕生し、今、その社長をしている。日本の「電機再編」を地で行く人生。最初の統合相手の三洋出身の本間氏が会長兼CEOとしてやってきたのも何かの因縁か。’“最後の統合”になるはずだったシャープとは破談になり、「電機再編」のストーリーはまだ完結しなさそうだ。

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