<伊勢志摩サミット>ロボ技術の「伝統と革新」が共演!

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人に代わって実験作業をこなす「まほろ」
 【伊勢】26日開幕の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)にあわせて設置した国際メディアセンター(三重県伊勢市)の政府広報展示スペースでは、日本が誇るロボット技術の「伝統と革新」の共演に海外メディアも高い関心を示していた。

先端技術を世界にPR


 「新薬開発にかかるコストを10分の1に」―。産業技術総合研究所発ベンチャーのロボティック・バイオロジー・インスティテュート(東京都江東区)が展示したバイオ産業用の汎用人型ロボット「まほろ」は、創薬研究の実験作業を人に代わって行う。

 シャーレから細胞を吸引する、遠心分離機にかける、など一通りの作業を1台でこなせる。その動きは、まさに人間そのもの。少しずつ条件を変えつつ試すという繰り返し作業が多い実験を、人間以上の再現性でできる。

 まほろの導入で開発期間の短縮が図れるとともに負荷の減る研究者は、より創造的な仕事に時間を割ける。まほろはすでに国内約10カ所で稼働。同社の担当者は「日本の最先端技術として海外にもPRしたい」と意気込む。

 高齢化社会を迎えた日本だけに生活支援ロボットも多く展示。トヨタ自動車の生活支援ロボットは、離れた場所にあるモノをつかんで手元まで持ってくる。タブレット端末で操作し、インターネット経由で遠隔地からでも指示が出せる。

300年続く「からくり」


 こうした先端分野と対をなすように、会場では伝統産業も数多く展示されている。中でも注目を集めるのが、ぜんまいバネと歯車で動く「からくり人形」だ。現代の二足歩行ロボットなどにもつながる「ロボットの先輩格」ともいえる。

 出展するのは江戸時代から現代まで続くからくり人形師の「玉屋庄兵衛」。名古屋市北区に工房を持ち、現在は9代目だ。2015年には厚生労働省から「現代の名工」にも選ばれた。現在は東海地方などの祭りで登場する「山車からくり」の製作や修復などを手がける。

 今回は茶わんや香炉を乗せて動く「茶運(ちゃはこび)人形」を展示。茶わんなどの重みで腕が下がると、ぜんまいバネの留め具が外れて歯車が回る仕組みだ。ある程度進むと、くるりと180度回転して元の場所に戻る。もともと公家、大名などの資産や遊具として楽しまれ、江戸時代には庶民にも広がった。

 玉屋庄兵衛の弟子の横井誠さんは「歯車など、江戸時代に既に存在した人形の加工技術が日本の工業化につながったのでは」と述べる。展示に見入っていた豪州人の記者は「日本はハイテク産業のイメージが強かったが、300年続くからくりの歴史があることには驚いた」と話していた。

日刊工業新聞2016年5月26日付 総合2面

COMMENT

現地リポートです。国際メディアセンター(IMC)では、政府の広報展示としてMRJの客室モックアップ(実物大模型)をはじめ、ロボット、新幹線、防災、インフラ輸出など、安倍政権の成長戦略に沿った形でさまざまな技術展示が出されています。と同時に、伝統産業とも上手い具合にマッチさせてPRしていました。 ちなみに、からくり人形の値段は百万円台から、オークションでは数百万円になることもあるとか。

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