MRIの磁界強度2倍にする超電導コイルとは

三菱電機などが液体ヘリウム不使用の技術を開発

 三菱電機は24日、京都大学、東北大学と共同で、枯渇が懸念されている液体ヘリウムを使わない高温超電導コイルを開発したと発表した。同コイルを磁気共鳴断層撮影装置(MRI)のミニモデルに搭載し、従来比2倍の磁界強度3テスラにおいて撮像した。高い磁界強度のMRIは、より高精細な画像診断を可能にし、病気の早期発見につながる。経済産業省のプロジェクトの一環で開発した。

 開発した高温超電導コイルは、マイナス180度C以下で電気抵抗がゼロになるイットリウム系超電導線を使用。コイルの巻き線の精度を向上し、商用MRIに求められる磁界強度の均一性(100万分の2以下)を実現した。

 さらに、MRIのミニモデルに搭載し、世界初となる3テスラまで磁界強度を向上。実際にマウス胎児の画像を撮像した。

 高温超電導コイルはMRI以外の電気機器への適用も可能。2020年度までに実用機の半分サイズのMRIを試作し、その後、実用機サイズのMRIコイルを試作して実用化を目指す。

 超電導コイルは現在、液体ヘリウムを使ってマイナス269度C以下まで冷やす「低温超電導コイル」がMRIなどに使われている。しかし、需要の急増などから将来は枯渇する恐れがあり、液体ヘリウムによる冷却が不要で、小型化も可能な「高温超電導コイル」の電気機器への適用が期待されている。

 30日からタワーホール船堀(東京都江戸川区)で開かれる「第93回低温工学・超電導学会研究発表会」で発表する。

日刊工業新聞2016年5月25日

村上 毅

村上 毅
05月26日
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マイナス269度Cの超電導環境をつくるため、MRIには液体ヘリウムを約2000リットル使用するそうだ。ヘリウムの価格は1リットル数千円なので、それだけを考えるとコストメリットは限られる。だが、液体ヘリウムをなくすことで、MRIの筐体を小さくできる。MRIは大きさや重量が設置する際のネックだが、その課題克服にも貢献することになるかもしれない。

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