海運業界に再編の波。国内3社、韓台独と連合

市況低迷、「事業が継続できる環境ではない」

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 歴史的な市況の低迷を受けて、海運業界の再編が加速している。日本郵船、商船三井、川崎汽船の国内大手3社は韓国の韓進海運、台湾の陽明海運、独ハパックロイドと、コンテナ船の新アライアンス「ザ・アライアンス」を設立。コンテナ船のアライアンスは現在四つあるが、買収などで船社の数が減り、再編後は三つに集約される。足元のコンテナ船の運賃市況は回復の兆しが見えず、世界最大手でデンマークのA・P・モラー・マースクを軸に、さらなる合従連衡もありそうだ。

※表右下のザ・アライアンスの中に「韓進海運」も含まれます

 コンテナ船のアライアンスは、世界首位マースクと2位スイス・MSCの「2M」、世界3位の仏CMA CGM、中国のCSCLなどが組む「オーシャン3(O3)」、日本郵船、商船三井、ハパックロイド、シンガポールのAPL、韓国の現代商船、香港のOOCLの「G6」、川崎汽船や韓国、中国の5社の「CKYHE」の四つ。現行の体制は15年からで歴史は浅い。

 マースク、MSC、CMA CGMは13年にアライアンス結成に合意したが、中国当局が独占禁止法に違反するとして拒否。その後、CMA CGMはO3を結成したものの、15年末にG6に加盟するAPLを買収。さらに中国の国有企業同士が合併し、一気にアライアンス再編の機運が高まった。

 ここでもCMA CGMが先に動き、4月にG6加盟のOOCLやCKYHE加盟の中国・コスコンなどを取り込んで「オーシャン・アライアンス」の結成を表明。ザ・アライアンスは、ここに加わらなかった日本の大手海運3社と、G6、CKYHEに加盟する3社で構成する。

 ザ・アライアンスは17年4月から、アジアと北米や欧州を結ぶ東西航路のコンテナ船の共同運航を始める。6社合計のコンテナ船の保有船籍数は620隻以上。船腹量は350万TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個)と世界シェアの18%を占め、2Mの同27・3%、オーシャン・アライアンスの同23・5%に次ぐ、3番手となる。

 コンテナ船のアライアンスで離合集散が続く背景には、市況低迷がある。コンテナ船の運賃は09年3月期を100とした指数で、16年3月期の北米航路が85、欧州航路は52まで低下。「事業が継続できる環境ではない」(日本郵船の宮本教子経営委員)と、悲鳴にも近い声が上がる。

 海運各社はアライアンスによる共同運航で過度な競争を避け、採算性向上を図る。ただ、中国経済が減速する一方で各社が大型コンテナ船の建造を進めており、一部の路線の共同運航くらいでは抜本的解決策にはならない。最大のアライアンスである2Mも強者連合結成に動く可能性もあり、コンテナ船を取り巻く環境は”荒波“が続きそうだ。
(文=高屋優理)

日刊工業新聞2016年5月24日

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高屋優理
編集局第二産業部
その他

世界最大手のマースクは、荷物の取り込みによるスケールメリットで、厳しい市況の中でも、利益を出し続けています。世界3位までが加盟するアライアンスの設立は、中国の待ったがかかりダメでしたが、今も何らかの形で、世界の荷物を自陣に取り込む方策を考えているのではないかと思います。

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