スマホでコーラ買うともう一本!自販機デジタルマーケティング
アプリで若者囲い込み
自動販売機でスマートフォンを使ってコーラなどの飲料を計15本買えば、好きな飲料が1本、無料でもらえる―。こんな自販機デジタルマーケティング戦略を、日本コカ・コーラが4月8日に始めた。同社グループの飲料自販機台数は全国で約98万台と、飲料業界ではガリバー的存在。その同社が、自販機台数の優位性を生かし、自販機に限定したデジタルマーケティングを仕掛ける。多くの若者が持つスマートフォンのデータ機能を活用し、需要を取り込む。
デジタルマーケティング戦略に対応する「Coke On自販機」の台数は2016年末目標で全国に14万台。アプリは年末までに、200万ダウンロードを目指す考えだ。単純に自販機で15本買えば1本もらえるのではなく、スマホでアプリをダウンロードし、スタンプを貯めるなど、スマホを絡ませた点が特徴だ。Coke On自販機の設置場所は、持っているスマホの位置検索機能で確認できる。
「01年ごろから、我々はITやデジタルマーケティングに積極的に投資してきた」。日本コカ・コーラコマーシャルリーダーシップ&ベンディング事業部の二宮淳統括部長は胸を張る。携帯電話で飲料が購入できる自販機をはじめ、スイカやフェリカといった電子マネー対応の自販機も06年以降に開発。業界他社をリードしてきた。この強みは「簡単には崩れない」(二宮統括部長)と見る。全国の自販機は1台ごとに番号が振ってあり、どこの自販機の売れ行きが良いか、リアルタイムで分かるという。
(電子マネー対応自販機などデジタルに積極投資している)
飲料は季節ごとに期間限定の新商品が登場し、ビジネスサイクルが早い。「景品プロモーションやポスター告知準備などに以前だと4―5カ月かかっていたが、スマホ告知機能を使えば1―2週間で済む」(同)と、早さの利点を強調する。
それだけではない。スマホの位置情報機能を使えば、気温が30度Cを超えた時点で、そのエリアの客だけに清涼飲料アクエリアスの割引チケットを配信したり、0度C以下になったらホット缶コーヒー「ジョージア」の宣伝を流すことも「可能になる」(豊浦洋祐マーケティング本部IMCiマーケティング統括部長)という。暑いときに冷たいものが飲みたいのは、人間の常。「ビジネスチャンスを逃さず活用できる」(豊浦部長)。
スマホ利用者で多いのは、若者層や女性だ。中高年層と違って若者層の情報入手方法はテレビではなく、フェイスブックやLINE、ツイッターなどのやりとりが主力。この分野にも日本コカは製品ブランドの専用アカウントを立ち上げ、コミュニケーションを図ってきた。LINEなどで話題になれば購入数がそれだけ増える。
「日本はイノベーションでは世界で特別な存在。新サービスは日本発で、海外からも関心が高い」。ティム・ブレット社長はこう語る。スマホを持ち歩き、テレビや新聞を見ない若者層に戦略効果はあがる。営業コストの改善も見込めそうだ。
(文=嶋田歩)
デジタルマーケティング戦略に対応する「Coke On自販機」の台数は2016年末目標で全国に14万台。アプリは年末までに、200万ダウンロードを目指す考えだ。単純に自販機で15本買えば1本もらえるのではなく、スマホでアプリをダウンロードし、スタンプを貯めるなど、スマホを絡ませた点が特徴だ。Coke On自販機の設置場所は、持っているスマホの位置検索機能で確認できる。
「01年ごろから、我々はITやデジタルマーケティングに積極的に投資してきた」。日本コカ・コーラコマーシャルリーダーシップ&ベンディング事業部の二宮淳統括部長は胸を張る。携帯電話で飲料が購入できる自販機をはじめ、スイカやフェリカといった電子マネー対応の自販機も06年以降に開発。業界他社をリードしてきた。この強みは「簡単には崩れない」(二宮統括部長)と見る。全国の自販機は1台ごとに番号が振ってあり、どこの自販機の売れ行きが良いか、リアルタイムで分かるという。
(電子マネー対応自販機などデジタルに積極投資している)
飲料は季節ごとに期間限定の新商品が登場し、ビジネスサイクルが早い。「景品プロモーションやポスター告知準備などに以前だと4―5カ月かかっていたが、スマホ告知機能を使えば1―2週間で済む」(同)と、早さの利点を強調する。
それだけではない。スマホの位置情報機能を使えば、気温が30度Cを超えた時点で、そのエリアの客だけに清涼飲料アクエリアスの割引チケットを配信したり、0度C以下になったらホット缶コーヒー「ジョージア」の宣伝を流すことも「可能になる」(豊浦洋祐マーケティング本部IMCiマーケティング統括部長)という。暑いときに冷たいものが飲みたいのは、人間の常。「ビジネスチャンスを逃さず活用できる」(豊浦部長)。
スマホ利用者で多いのは、若者層や女性だ。中高年層と違って若者層の情報入手方法はテレビではなく、フェイスブックやLINE、ツイッターなどのやりとりが主力。この分野にも日本コカは製品ブランドの専用アカウントを立ち上げ、コミュニケーションを図ってきた。LINEなどで話題になれば購入数がそれだけ増える。
「日本はイノベーションでは世界で特別な存在。新サービスは日本発で、海外からも関心が高い」。ティム・ブレット社長はこう語る。スマホを持ち歩き、テレビや新聞を見ない若者層に戦略効果はあがる。営業コストの改善も見込めそうだ。
(文=嶋田歩)
日刊工業新聞2016年5月23日 モノづくり面