ニッポンの電子部品28社、業績総まとめ。今期の利益予想は?

営業利益はほぼ横ばい。

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 電子部品主要30社の2016年3月期決算が出そろい、比較可能な29社の営業利益の総額は前期比7・8%増の9122億円となった。15年4―9月期はスマートフォン向けや車載向けが好調に推移し、TDKなど大手企業の多くは業績が伸長した。ただ16年1―3月期から米アップルによるスマホの減産の影響が出ており、受注が停滞している。この影響は6月まで続くと見られ、比較可能な28社の17年3月期営業利益の総額は同10・1%減の8180億円にとどまる見込みだ。

 スマホは米国企業の減産が進んだことに加え、中国向けも伸びが鈍化する見込み。TDKはスマホ向け部品などの部門の売上高が16年3月期に同8・2%増を計上したのに対し、17年3月期は3―6%増にとどまりそうだ。中国向けに強い村田製作所も「中華圏で不透明感が増すことや、一部の商品でシェアダウンがあった」(村田恒夫社長)と話す。

 個別企業の業績を見ると、京セラの16年3月期売上高は同3・1%減となったが、これは自社ブランドのスマホや太陽光発電システムの販売減が主因。電子部品などの事業部門はスマホや車載向けが好調を維持しており、特にスマホ向け電子部品の売り上げは同8・5%増と伸びた。

 ただ足元では「スマホは北米の大手メーカーに限らず、全般的にあまり活発ではない。6月まではあまり変化なく推移する」(山口悟郎京セラ社長)という。一方で「スマホ端末の伸びは鈍っているが、入っている部品点数は増えている」(同)とし、17年3月期売上高は同14―15%伸ばす計画だ。

 TDKは自動車向けセラミックコンデンサーやインダクティブデバイスなどが好調に推移しており、16年3月期は売上高が過去最高を更新した。ただ17年3月期の売上高は同0・7%増にとどまる見込みだ。

 村田製作所は16年3月期に売上高、営業利益、当期純利益が過去最高を更新した。特に16年3月期のスマホ向け部品の売上高伸び率は同30%増となった。市場が減速する中で「汎用部品と用途特定型部品の両方を提供しているため」(村田社長)と話す。ただ17年3月期は中国経済の成長鈍化を織り込み、スマホ向け部品の売上高は同2%増にとどまる見通し。

 日本電産も16年3月期に売上高、営業利益、当期純利益が過去最高となった。ただ米スマホメーカーの減産で、スマホ向けの受注が大幅に減った。「市場全体がピークアウトしたわけではない。4月から次のモデルで取り戻す」(永守重信会長兼社長)と巻き返しを誓う。

 日東電工も同様に米スマホメーカーの影響が出ている。「在庫調整が続いている。新モデルにより、6月くらいから立ち上がってくるのでは」(高崎秀雄社長)と見る。

 技術や製品が評価されながらも顧客の販売動向に左右される電子部品業界。電子部品各社はスマホだけに依存しない事業構造への転換を狙っている。

日刊工業新聞2016年5月20日

COMMENT

尾本憲由
編集局
ニュースセンター長

電子部品をけん引してきたスマホ市場が踊り場を迎えている。ハードの技術革新が鈍っている中、単なる小休止で終わらない可能性もある。部品メーカーにとっては逆風に違いないが、こんな時は優勝劣敗が進みそう。さまざまな専門分野に分かれていた部品メーカーの合従連衡が進み、巨大メーカーの誕生につながるかも知れない。

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